私がアドバイザーをさせて頂いている 大阪の八光自動車では、毎年「ジラソーレ・サーキット走行会」と銘打ったイベントを行っているが、今年も兵庫県のセントラルサーキットで開催された。
私はそこで、ドライビングの講習をしたり、先導走行をしたり、或いはドライビングの相談を受けたりするのだが、例年、新型のアルファに乗れるので楽しみでもある。
で、今年の車はブレラだった。
HAKKO CAR GROUPホームページ http://www.hakko-group.co.jp/
アルファロメオ・ブレラ3.2 V6 ( 4WD/6MT ) 。
つまり、V6で3200ccの、このスポーツクーペは4WDであり、6速のマニュアル・トランスミッションを備えている。と、その表記を見ただけでも大変魅力的である。
写真は05年の東京モーターショーで初めてブレラを見た時に写したもので、とても、そのデザインに感銘を受けた。
近年のアルファは156と147によりデザイン的なイメージが定着している感が強い。そして、ジウジアローがアルファのデザインをすることになり、さて、どんなデザインをするのかと興味を抱いていた。
そうした中でフラッグシップたるブレラが発表されたのだが、ジウジアロー特有の直線的で未来的なデザインに、アルファらしさが見事に融合されていて、とても魅力的だった。流石、ジウジアローと関心した記憶がある。
車に乗り込みコックピット・ドリルを受けるがマニュアル仕様なので操作類はシンプルだ。
リッチになった印象を受けるキャビンではあるが、やはりアルファのスポーティーさが溢れている。それに、乗り込むと正面のメーター中央の液晶表示に真っ赤なアルファのマークが浮かび上がり、その瞬間から雰囲気を盛り立てる演出が憎い。
走り出してみるが、走行感覚は一言で言って何も問題なく、実に良く出来ている。
159もそうだが、明らかにこれまでのアルファより一歩も二歩も進歩した印象で、しなやかで重厚な乗り味であり、非常に完成度が高い。
サーキット走行ではあっても他の車を先導しているので飛ばすことが出来なかったが、この乗り心地の良さからは、多分、攻めればかなりのロールを発生するのだろう。ただ、ダンピングは良く効いているし、例えサーキットでロールが大きくても大した問題ではない。それよりも、直線でのスタビリティがとても高く、きっと高速道路では安定して走り続けることだろう。
少し後続を無視して踏み込んでみると、さすがに新設計のV6エンジンからは気持ち良い加速が得られ、ミラーの車は見る見る小さくなる。
おっと、いけない、いけない。
カッコ良くて速いブレラは、乗っていて、とても気持ち良い車だった。
さて、よく自動車専門誌では色々な車をサーキットに持ち込んで評価しているが、実はサーキット走行というのは非常に特殊な状況にある。それは、車を常に限界域で走らせるので、ブレーキングはアンチロックに入るが入らないかのギリギリ、タイヤが横滑りを始めるあたりでのコーナリング、アクセルを床まで踏みつける加速、など、目一杯攻めて走るのがサーキット走行であり、要するに普段では有り得ない状態なのである。従って、そこでの評価は、この車は限界域では”こうなります”という程度に受け止めるのが良いだろう。
サーキットでは、まず普通のサスペンションでは柔らか過ぎて大きなロールやピッチングを生む。一方、サーキット走行にバッチリというほど足を固めたとすれば、そのまま一般道を走ればガチガチで乗り心地は最悪となるのが普通だ。(よってスポーツサスでは調整式ダンパーが生きてくる)
あるいは、筑波サーキットのラップタイムが何秒、などというのは記事としては面白いが、車の優劣と見るべきではないだろう。
そう、大切なのは普段走る状態で車が良いかどうか、のはずだから。