鉄道模型の世界では運転会という催しがある。
大体はクラブ単位、あるいはいくつかのクラブが合同で開催されるもので、公の諸施設や体育館など、どこか広い場所を借りて、写真のように組み立て式の大きなレイアウトを施設し、車両を持ち寄って走らすもので、一般の方に公開されるケースも多く、近頃は、あちこちで開催されるようになった。
HNモジュールクラブという私の兄が始めたクラブがあり、先日、大阪の枚方市でHNモジュールの運転会が開催され、私も応援メンバー(運転支援員)として参加させて頂いた。
このHNモジュール運転会が一般的に行われる運転会のレイアウトと違うのは、HNモジュール独自の規格を持ち、それに則り各自が作った景色の付いたモジュール(ジオラマ・セクション)を持ち寄って、それらを接続してひとつのレイアウトとして楽しむというもの。
HNモジュールの規格は、床から線路面までの高さ、各モジュールの接続面の接続方法や電気接続などの統一を図っていて、それ以外は自由に自分の思う景色を作れば良く、日本の景色、ヨーロッパの景色、様々な季節や時代などがみられる。
因みにゲージはHOで、ヨーロッパ型1/87(英国型1/76)、日本型1/80の車両が走る。
その規格により、各自が持ち寄る様々な景色のモジュールが正確に繋がれる。
これまでの一般的な運転会がベニヤ板の上に線路を敷いた方式が殆どであるが、HNモジュール運転会では美しく作られた景色の中を車両が走る。
この入江のモジュールでは残雪の残る能登地方の景色が表現されている。(写真をクリックして拡大すると、その精密な作りがお判り頂けよう)
保津峡(京都嵐山に流れる保津川の上流)のモジュール。
渓谷の岩や水の表現が素晴らしい。右に続くモジュールも連続して作られているが、そちらは大橋梁へと続く。そして季節に秋を選ばれたが、その紅葉が美しい。
怖くなるほどの高さで跨ぐ大鉄橋。その精密で実感味ある作りには関心するばかり。
このようにして、各モジュールは要するに各メンバーの作品であり、それぞれ心象の景色を表現されていることがよく判る。また、工法にもそれぞれに違いがあり、美術館の作品を見るように、とても興味深い。
こちらは細部まで非常に良く出来ていて、そしてヨーロッパの雰囲気を存分に感じさせてくれるスイスの駅のモジュール。
この写真左側に伸びて行くのが一般的な直流運転用路線で、右手前に伸びるのがDCC(デジタルコントロール)の路線。今回はそれぞれ独立した路線/コントロールの設定がされた。そしてこの駅が両路線の終着駅となった。
全部で19台ものモジュールが集まったので、紹介したい素晴らしいモジュールはまだまだあるのだが、とてもここでは紹介しきれない。
そうした中で驚いたのが、この土手のモジュールを製作された方の話。
まずは土手というシンプルな景色だが、緩やかにカーブを描く線路と共に各部分が素晴らしい出来のモジュール。また沢山の人を配したことで生きた景色が感じられた。
で、問題は、このモジュールの運搬方法。実はこの方、九州から参加された。
撤収時には、モジュールを立てて、モジュールの足を外すと、その裏側に足4本がピッタリ収まるように設計されている。
そして上からカバーを被せると、その上には肩から吊り下げられるバンドが付いている。
そして、このようにして運ばれるのだが、何と、車ではなく新幹線で移動して来られた。実は、この箱(モジュール)はピッタリと700系の網棚に乗るサイズとのこと。
(但し、500系は円断面の為に乗らない由)
全てが良く考えられた、素晴らしいモジュールだった。
下は私のデジタルサウンド仕様のC56がドラフト音/汽笛と共に前述のモジュールを走る姿。
やはりリアルなサウンドは多くの方が興味を持たれていた。