寒い季節になると帽子を被りたくなる。
幸い、額は後退したものの未だ頭髪は健在だが、それとは別に歳をとると頭が寂しい、という感覚が大きくなってくるようだ。
いつの間にか帽子も増えてしまった。必要に応じて買ったもの、行った先で記念に買ったもの、プレゼントで戴いたものなど。
ほぼ毎日のように被るウオーキング用も、普通の野球帽から、暑い時用の風の通る網目のもの、そして最近の寒さ、特に風の冷たさを防ぐ耳被りの付いた帽子など。
ああ、それに暗い夜にはLEDライトがつばに2つ付いた帽子なんかもあった。これなんか前方から来る人には目が光っているように見えて気持ち悪いだろうなと思う、まあ、人が近づけば消すけどね。
時節柄、つまり寒くなり欲しくなる帽子の話だった。
普段は帽子を被らないのだが、特に出張など、遠くに出掛ける時には頭が寂しい気がしてしまう。
私の場合、東京方面への出張が時折入るのだが、名古屋駅での比叡おろしの寒さや、都内で歩くときに頭が寒いのでは、と、つい出掛ける時に先を心配がちになるのである。
とは言え、ヨーロッパの街などでは年配者が普通に帽子を被る習慣があるが、日本では帽子を被ると妙に気取って見られるのも抵抗ではある。
まあでも、思うままに生きよう、と帽子を選び始める。
そんな、いくつかの帽子の中で、最近のお気に入りが、この帽子である。
我が家に遊びに来て頂いた知人の方より戴いたもので、不思議なことに極小サイズの私の頭にピッタリであった。
分厚いツイード生地のヘリンボーン柄で、アイルランド製である。
前後に庇(ヒサシ)があるのが特徴で、何と呼ぶ帽子なのか判らない。
狩猟の時に使うとされる鹿撃ち帽に良く似ているが、鹿撃ち帽には耳当てがあり、普段耳当てが頭頂部に留められるので、一見、この耳当てのない帽子と同じに見える。
これを被るには、服も全くチグハグな服を着る訳にはいかない。
やはり英国調のコートやジャンパーを着ることになる。
そうか、どこかでこの帽子を見たと思っていたら、以前にシャーロック・ホームズ博物館を訪れた時に買ってきた地番プレートをシャレで我が家の玄関に貼ってあるのだが、そのシャーロック・ホームズのシルエットを見ると被っているのが、この帽子のようで、そんな親近感があったのか・・と。
Baker Street W1などと、まさに地番どおりにシャーロック・ホームズ博物館はあるのだけれど、架空の人物なんだけどね。