アントニ・ガウディ

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何だ、この仮面は! と思われるかも知れない。
スペインに行った目的のひとつは、ガウディの作品を見たかったのである。
実は、これはガウディのデザインした住居カサ・ミラの屋上にある、排気口と煙突である。


○トカゲ_2.jpg
ガウディと言えば、サグラダファミリア教会やグエル公園が代表的な作品であり、当然、それは外せないが、
一方で住居という人の生活場所をデザインしたカサ・ミラやカサ・パトリョに興味があった。
その外観に直線を一切持たない建築物の内部は果たしてどうなっているのか、果たして人の生活は考慮されているのか、というあたりに興味を持っていたのである。
2_カサ・ミラ外観.jpg有名なカサ・ミラの外観。このカサ・ミラもカサ・パトリョもバルセロナの繁華街のド真ん中であるガルシア通りにあり、日本で言うなら銀座通りに建っている。
地中海をイメージしたと言われる建物は浪打ち、うねるような外観で、1907年に建設されたので、既に100年以上を経過している。
上層階は見学出来るが、その下の階には現在も数世帯が入居していて見ることは出来ない。

3_廊下_3.jpeg廊下から行こうか。
主に建物の中庭側に廊下があるが建物に沿って波打っている。逆に、その凸凹が各部屋への独立性を感じさせる。
逆に、屋外タイプで真っ直ぐな日本のマンション/アパートの廊下と比較すると、イメージの違いが明確になる。
4_一般ダイニング_2.jpg
一般的な家庭と思われるダイニング。
何も普通と変わらないが、よく見ると部屋は四角くない。
しかし違和感もない。
そして窓は天地に大きくとり、陽光の採り入れに配慮していることが判る。
5_一般ミシン.jpg
同じ家庭の主婦のワーキングルーム。
ミシンやアイロン台など、何か、とても懐かしい風景で、ごく普通の生活を感じる。
そして、ここでも窓を大きくとり光を入れようとしている。
6_バスルーム.jpg
同じくバスルーム。
部屋は完全に扇形をしているが、浴槽や便器、洗面器の配置により、むしろ四角い部屋よりも使いやすいのではと思われる。
それにしても、こんな古い時代(1910年頃)からトイレにはビデが付いていたんですね。
7_手摺_2.jpg
ベランダは強烈である。
建物は浪打ち、独特の世界観を間近に感じる。
そして手摺りは鉄製ではあるが、まるで植物の葉っぱのようなデザインで、それも、ひとつひとつが別々の形をしている。いかにも手作りのようで、コストを全く無視してデザインしていたと考えられる。
8_高級リビング_2.jpgこちらは、お金持ちの家だったと思われるリビング。
こうした家ほどガウディの凝ったデザインが反映される。
寄木細工のような床のデザインや飾りの付いたドア枠、そして扇形の部屋など、当時としては、とんでもないデザインだったであろうし、いやいや、今でもこんなデザインをする家は殆ど無い。
□高級ダイニング_3.jpgリビングに続くダイニング。
家具類もコーディネートされているので、建物との一体感が強い。
ドアの形やアーチに注意。
こうし見てくると、意外にもカサ・ミラの内部は、カーブした建物に惑わされることもなく生活空間が確保されており、そして、そのモダンデザインは自然美と共に人間味を感じるものだった。

11_カサパトリョ.jpg街路樹が邪魔して見づらくて恐縮だが、この右側の建物がカサ・パトリョ。
ガウディの建築様式はモデルニスモと言い、19世紀末から20世紀初頭にかけてのスペインのモダニズムの芸術様式だ。
カサ・パトリョの左横に並ぶ建物、カサ・アマトリューも建築家名は忘れたがモデルニスモの建物。
また、すぐ先には革製品の「ロエベ」の入るビルがあるが、こちらもモデルニスモ建築で、ガウディと並んで著名なモンタネールの作品。
というように、バルセロナの中心部には、あちこちに素晴らしい建築物が見られる。
13_サグラダファミリア遠景.jpg
さて、サグラダファミリアには夕方着いたのだが、
夕陽の逆光に浮かび上がる教会の姿は、その圧倒的な高さと共に、圧巻だった。
そして、
中に入り、礼拝堂の真ん中の椅子に座っていると、不思議なほど、何か胸が透くような、気持ちの落ち着きを感じたのである。
そんな話をガイドの方にすると、ガウディは、この教会の中を、森の中に居るようなイメージを持って作った、という。
そうだったのか、御意!
14_教会内部.jpg

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