FCJ

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FCJレースと言っても、ピンと来ない方も少なくないかも知れない、しかし今や、レースの世界では知らない人がいないほどのレースになった。
FCJは私がアドバイザーを勤めているレースであり、たまには真面目にドライバー育成の話でもしてみたい。
FCJは2006年に日本の優秀なドライバー育成のためにトヨタ・ニッサン・ホンダが協力して誕生したレースで、比較的歴史の浅いカテゴリーではあるが、しかし、前述のように知名度が高いのは、このレースの出身者からF3に、そして日本最高峰のフォーミュラ・ニッポンやスーパーGTのドライバーが次々と生まれているからに他ならない。何故か?
http://f-challenge.jp/fcj/fcnap/app/cNList_h.dll


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まずは今年、参戦したドライバーの顔を見てもらおうか。
若い、そして、殆どのドライバーはこれまでに他のレース、レーシングカートやフォーミュラ・ジュニア等で好成績を挙げてきたドライバー達である。
大体FCJレースには2~3年程度挑戦する。
FCJは、プロドライバーへの現実的な一歩を踏み出すべく、実力を磨く場であり、実力を発揮する場所なのである。
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他のカテゴリーで活躍してきた、例えばカートの世界では世界上位レベルのドライバーもFCJに入って来るが、だからと言って簡単に勝てるものではない。
(そのような凄いのが居るのが理想ではあるけど・・・)
このFCJに参加すると、各ドライバーは1年の間に驚くほど成長し、タイムを伸ばす。
その理由としては、いくつか挙げられるが、
・レベルの高い選手の集まりであり、その中で、よりレベルアップを目指す
・車はセッティングまで含め統一しているので、ドライビングに集中させ、道具(車)に頼らせない
といった環境面があり、そしてドライビング向上の直接的な要因としては、
①ロガーデータの共有化による、他のドライバーとの比較、学習
②ドライビングアドバイザーによる的確な指導
この二つのことが、とても大きく作用している。
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アドバイザー・ルームでアドバイスを受けている写真だが、このようにアドバイスを受ける時は、毎走行後に配布される全ドライバーのロガーデータをPCに取り込み、そのパソコンを持ってアドバイスを受けにくる。
一方、各アドバイザーは走行中は各コーナーに見に行き、実際に見た走りと、ロガーデータを見ながらアドバイスを行う。
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データロガーには非常に多くの項目が記録されているのだが、ドライビング的には、
・車速・アクセル開度・前後ブレーキ圧力・ステアリング角度・シフトギア・タイム差
などを表示して、2車あるいは3車のグラフを重ねて比較検討から始める。
写真の画面は、まる1周を表しているが、ひとつひとつのコーナーを拡大して見ることで問題点が浮き彫りとなる。
そして最終的には、ドライビング技術と共に、考え方や気持ち、といったことが重要になるが、レーシングドライブとは奥深いものであり、優秀なドライビングアドバイザー達はそこまで対応出来る。
あ、それと私もね。
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FCJの特長は前述のように、全ドライバーのデータが貰えるので、誰のドライビングとも比較が出来るのは非常に有効な方法で、こんなシステムは他のレースでは見当たらない。
ドライビングアドバイザーは、トヨタ、ニッサン、ホンダから各1名、因みに今年は影山正彦選手、影山正美選手、武藤英紀選手であり、こうした一流の選手がアドバイスする。あ、それと私が居ますね。
各アドバイザーは誰でも相談に来ればアドバイスをする、つまり、ホンダ系のドライバーにトヨタのアドバイザーが一生懸命教える姿が普通に見られるし、当然、その逆もある。またメーカー系に属さないドライバーも全く公平にアドバイスを受ける。
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このようにしてFCJで腕を磨き、そしてFCJレースで高成績を挙げると注目を受け、評価されることになる。
例年、FCJからは何人かがF3にステップアップをするので、今やF3の半分位はFCJ出身ドライバーが占めるほどになっているのである。
それにしても今は、こんなにハッキリした道筋があって、うらやましく思える。
私が若かった頃には、プロを目指す道筋すら見えず、まるで砂漠の中を歩いているようなものだった記憶がある。
それはそれで、色々経験させてくれたんだろうけどね。
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