私の鉄道模型趣味は少し変わっていてイギリス型を中心として楽しんでいる。
ホビールームにはイギリス型のOOゲージ(1/76)のレイアウト(一般的にジオラマと呼ばれるが)がある。
写真は”オリエント急行”の豪華なプルマン客車と乗客二人の図。
車両は英HORNBY製だが、造作の素晴らしいカーテンや点灯しているテーブルライト、また連結部付近やドア周りの細密な作りなどに注目頂きたい。

先にある駅に向けて、ゆるやかにカーブを描いた道。
農家の向こうに民家が並ぶ。
手前の石積みの柵の中には羊が放牧されている。
実はレイアウトには、このようなイギリスの田舎の景色を表現したかった。
何故イギリスを?
「イギリスかぶれ」と言われても仕方無いが、昔、半年あまり滞在してイギリスでレースをしたことに始まり、その後、旅行や仕事などで幾度も訪れことがあり、イギリスが入ってしまったのかなと思う。
また、鉄道模型には仲間がいるのだが、ドイツを中心としたヨーロッパ型を好む方が多く、へそ曲がりの私はコンチネンタルではなく、イングランドを選ぶことにもなった。

因みに、私のレイアウトのテーマは「Big Four」として、1920年代から1946年までの「イギリス4大鉄道」時代の列車を中心としている。
イギリスの鉄道が最も華やかだった時代であり、やはり蒸気機関車の牽く優等列車が魅力的であった。
簡単に説明すると、ロンドンを基点として、スコットランドに向かう東海岸線(LNER)の”フライングスコッツマン号”、同じくスコットランドに向かい中央/西海岸線(LMS)の”ロイヤルスコット号”、南西の海岸に延びる(GWR)の”ブリストリアン号”、そして南のドーバーに向かう(SR)”ゴールデンアロー号”などで、一応全て模型は保有している。
写真はLMS”ロイヤルスコット号”、クリムゾン・レッドの赤塗色が印象的。

レイアウトのコントロール系はデジタルコントロール(DCC)方式を採用している。
蒸気機関車のドラフト音(シュッシュッシュッ音)や警笛などの音を出し、室内灯も停止時でも点灯するし、また勾配区間の走行ではコントローラーから速度を指示している形になるので、上り坂や下り坂でも一定速度近くで走る。
写真は有名な世界最高速度記録を持つLNER A4型 マラードが”フライングスコッツマン号”を牽く。英Dapol社製で、この製品は素晴らしく、発煙装置で煙を出し、警笛ではホイッスルから蒸気(煙)を噴き上げ、ライト(ヘッドランプ)の点灯、そして運転席の火口ではシャベル音と共に火口で赤い光がチラつく。

街も、是非とも作りたかったもの、イギリスのどこにでもあるような街を。
手前が商店の並ぶ街並みで、一本裏の通りには二戸一の住居が並ぶ。
レイアウトの右端に作ったが、実は商店は5棟で鏡により10棟に見せている。
製品は、ほぼ全てがHORNBY製品で、イギリスの鉄道模型は鉄道車両から建築物、樹木、自動車、電話BOXから道路標識、人物そして動物に至るまで製品化されており、それも全てが廉価な設定なのでレイアウトを作るのに大変助かった。 つまり、イギリスの模型文化を採り入れたレイアウトとも言えるのかなと思う。

羊の丘をGWR ”ザ・ブリストリアン号”が走る。
この羊の丘はコッツウォルズ地方をイメージして製作した。
実は、この丘を作るのはかなり苦労した部分だ、中の骨格は金網である。金網で隆起のある丘の形状を作り、その上にプラスタークロスを貼り地面を作り、下地塗装後に「芝生の達人」なる草蒔き道具で草を蒔くが、羊の食んだ部分は短い草、柵の外は長めで、且つ雑草を生やした。柵も、それぞれの棒に4ヶ所の穴を開けてワイヤーを通すという、言わば労作だ。

これは支線にあるイギリス式の踏切。
このように、列車が来ない時には線路側を遮断機が止めている状態になる。だから、イギリスでは踏切での車の一旦停止は必要ないし、見るからに通行可能だ。無論、列車が近づけば遮断機を動かして道路側を遮断する。
そんな英国式踏切をレイアウトに取り入れたいと思っていたら、レイアウト完成間近に英BACHMANN社から発売になり、いつもお世話になっている英国模型専門店のメディカルアートさんにお願いして取り寄せて頂いたものだ。

朝、ホビールームのドアを開けると、朝陽を浴びるレイアウトはまるでイギリスの霧の朝のよう。
“ゴールデンアロー号”の矢印が光っていた。
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