地方版だけど、こんな形で私の趣味が中日新聞に掲載された。
その誌面の大きさに少し驚いたけど、近隣の方にはすっかり面が割れてしまったな。
それはともかく、私が鉄道模型の趣味を持っていることは知人や近所の方はご存じのことで、これまで私のレイアウトには、かなり多くの方が見に来られている。
「趣味」はとても良いもので、携わっている時間は、仕事の事や面倒な物事さえ忘れて没頭させてくれる。
40才を過ぎた頃から、それまで仕事全開で生きてきたのだが、少し精神的な余裕も出来て、子供の頃から好きだった鉄道模型を再開させたのである。
ただ、子供の頃と違うのは、人生経験からだろうが趣味への視点が変わり、鉄道車両だけの興味から、鉄道を取り巻く環境や景色などを含めて興味を持つようになっていた。
そんな背景からレイアウト作りに進んで行ったのだと思う。
レイアウトを訪問頂いた方には何時も「イギリスには昔、四大鉄道時代というのがあって・・・」と「ビッグ4時代」の、いわゆるイギリスの鉄道が最も華やかだった時代の列車を走らせて楽しんでいる旨の説明から始まる、まるで観光ガイドのようだけど。
やがてイギリスの景色の説明となって行くのだが、
実は景色の創造は、楽しみつつも構想に苦労をした部分でもある。
レイアウト製作の順番としては、線路配置を先に決めていく。
このレイアウトではテーマとして・運転が楽しめる事・メインラインは複線でロングランの出来る線路配置とする事・デジタルコントロール方式とする事・ヤードは6列車が停まれて通り抜け方式とする事・またアナログ制御の支線も備える事、など。
こうしたことから出来た線路配置は、上下二層による複雑なものになった。
その線路が引き回された以外の空間でイギリスらしい景色を表現せねばならない。
そこには「コッツウォルズ地方」と、イギリスの「どこにでもある街」を作りたい。
と、線路配置のみでなく景色に至るまで、大変欲張ったレイアウトを作る事になったのである。
コッツウォルズ地方はイングランド中央部に広がる丘陵地で「イギリス人の心のふるさと」とも言われ、私も家族旅行で訪れたことがあるが、その心の豊かさの一部を感じさせて頂いた思い出の地でもある。
上の写真は、家族旅行で行った時に買ったカレンダーの表紙だが、丁度この左手に宿泊した古風なホテルに宿泊した。
模型では、駅に向かう通り沿いに市販の建物(Hornby製)を利用して、こんな感じでコッツウォルズを表現した。
実際の景色には程遠いが、それでも何とか雰囲気が感じられるものが出来た。
手前に作った”Cotswolds”の語源と言われる”羊の丘”から家並を見下ろす。
この感じがコッツウォルズに似ていて、最も気に入っている景色である。
この、なだらかな丘を作るのには苦労をした部分で、内部は金網を使って造形した労作である。
末尾の写真にあるが、草も羊の食む柵の内側と外側では長さを変えてあり、柵も3種類を使って製作した。
また、イギリスの「どこにでもある街」の創造も迷ったものだった。
こんなイギリスの何処でも良く見かける街を作りたい。
しかし、駅の配置は決まっているし、その駅とどうやって街とを繋げようか、と設定が出来ずに悩んだのだが、
いや、思い起こすとイギリスでは鉄道と街とは高さが違っていたぞ、と。
概ね鉄道の線路は街の下か上を通っていたではないか、そうか駅と道路で繋げることはなく、街だけ独立して作ってしまえば良いのか。
ということで、レイアウトの右奥の線路の上に街を作る事にした。
そこを如何にそれっぽい街にするかであり、東京にあるイギリス模型の専門店「メディカルアート」さんを訪れては、沢山ある在庫の建物の中からイメージに合う製品を選んだり、中にはカタログを見てイギリスから取り寄せて頂いたものもある。
完成した街並み。実は横に5棟の建物なのだが、その先は鏡により街並みが続いて見えるようにしている。
手前側の通りが商店街で奥の通りが住居になる。
奥の住居はイギリスに多い一つの建物を半分ずつ二戸で使う構造の住居で、昔、私がレースでイギリスに滞在した時に下宿をしていたのが、こうしたお宅のひと部屋だった、言わば思い出の建物でもある。
そんな、色々な思いを含んで、このレイアウトを作った。
イギリス型レイアウト「Big Four SUZUKA」。
私が色々な感銘を受けた国「イギリス」を、家に居ながらにして感じられる小世界と言えようか。