昨年、日本で一番売れたSUVはホンダ・ヴェゼルだった。
そのホンダ・ヴェゼルに乗る機会を得た。
よく晴れた秋空の下、少し遠出をし、快適なドライブを楽しんだ。
近年、まさにSUVブームのように国内外の各メーカーからスタイリッシュなSUVが発売されているが、CあるいはDセグメントの小型SUVの先鞭をつけたとも言えるのが、2013年に発売されたこのホンダ・ヴェゼルだろう。
それまでSUVは、野山の走行をイメージした、少しジープ系のカテゴリーだったが、ヴェゼルはタウンユースを主体として、ボディデザインにクーペ・スタイルを取り入れ、豪華な内装とミニバンのような便利さを備え、また、Fitベースとは思えないサイズ感と質感があり、多くの人から共感を得たものと思える。
その後、2015年にマツダCX-3が、トヨタは2016年にC-HRを、このカテゴリーに投入され、今や各メーカーからのクーペSUV(新語?)は乱立状態とも言える。
そんな中、2013年に発売を始めた一番バッターたるホンダ・ヴェゼルが昨年度にもトップ販売というのは快挙とさえ言えよう。
そんなヴェゼルに乗ってみたかったのである。
乗せて頂いたのはHYBRID RS Honda SENCINGで、ヴェゼルの中でもスポーツバージョンに位置するのだろうが、とにかくハイブリッドに乗りたかったのである。
RSの仕様としては、エンジンを含め動力性能に変わりはなく、主にタイヤが17inから18inにサイズアップされていて、それに伴いダンパーがパフォーマンスダンパーと呼ぶ減衰力を上げたものになるが、当然バネレートも上げられていよう。
写真のようにペダルが金属性だとか、他、細かな部分の違いはあるが、まあそれは良かろう。
知らなかったのは、ヴェゼルのミッションはCVTだと思っていたのだが、ハイブリッド車には何と7速! のミッションが備わっていた。
先に言ってしまうが、シフトショックというか、変速すら気付かないシームレスシフトの素晴らしいトランス・ミッションであった。
車内を見てみると、後席の広さに感心した。足元が広くセダンでは考えられない広さが確保出来ている。
上下高のあるSUVのメリットは、こうしたところにも反映する。
同様に、トランクルームも奥行きと共に高さ方向を含めた広さが確保されている。
こうした、広さや、使いやすさはミニバンの良さを彷彿させるし、生活する上でとても便利なクルマであり、デザインの良さと共に、それらが販売に繋がっているのだろうと思えた。
新名神高速下り線の鈴鹿トンネル入口付近。
その景色の良さに、いつもカメラを構えがちだが、面白いのは最近この一番左側に車線が増え、その車線は「亀山・名古屋」方面と逆方向が示されている。その車線は坂を下ってトンネル手前でUターンして、向かい側の上り車線に繋がる、高速道路内で方向転換するという特殊なものである。
これは東名阪道の上り方面からの車が、その東名阪道と並行する新名神の上り路線に繋げる為のバイパス線で、新名神の開通に伴い、こうした配慮にもより東名阪道の鈴鹿IC周辺の慢性的な渋滞が解消された。
ヴェゼルは快適なクルマで、簡単に言うなら「良く走り」「良く止まり」多分「良く曲がる」。
加速の良さは通常乗るには充分な加速力で、1.5L/132psのエンジンと29.5psのモーターで合わせると最大161psとなるが、それよりエンジントルクの15.9kgfにモーターの16.3kgfを加えると32.2kgf、特に1300rpmあたりから最大トルクを発生するモーターのトルクこそが通常の走行で気持ちの良い加速を得られるものである。
また、よく走る車に必ず必要なのがブレーキ。ホンダのブレーキは元々、踏力に対してよく効く側の設定ではあるが、時には不自然に効き過ぎとか、朝一番のブレーキではカックンブレーキになったりもしたが、このヴェゼルでは、ごく自然なフィールで、とても良く効くブレーキになっている。
コーナリングは試していないし、専門誌がよく箱根を攻めたりしているが、そんな必要は無い。家庭で使うクルマにコーナリングの限界性能など必要ないからだ。また、コーナーを限界まで攻めなくても、通常走行に於けるクルマの動きで、その車の性格は把握出来るし、前後バランスや安定度は伝わってくる。
前述のように、このRSのタイヤは18inと他のモデルの17inよりワンサイズ大きく、サスペンションも堅め、ダンパーも換えて対応されているが、若干バネ下の重さと踊りが感じられ、舗装の継ぎ目などではハーシュネスもあり、タウンユースには少し硬いかな、と思えた。
実はこの日、滋賀県の信楽に向かったのだが4連休の最中で、信楽のインターチェンジを下りると信楽まで5km余りの渋滞に嵌ってしまった。
しかし、そこで新たな発見をした。
センターコンソールの一番手前にある”BRAKE HOLD”のスイッチを入れるとメーター左上部に緑色で表示され、車が止まるとブレーキを離しても車は固定されて動かない。そして前の車が動き出すと、軽い警告音と共にメーターの右上に”先行車の発進を検知しました”と表示される。(上の写真を拡大頂くとお判り頂けよう)
これは便利だ。ずっとブレーキを踏んでいなくても良いし、目線を外していても発進を教えてくれるので、渋滞時の運転がグンと楽になった。
都会等で暮らし、慢性的な渋滞に会う方にはとても助かる装備だろう。
また、当然アイドリング・ストップで停止時にはエンジンは止まっているが、ハイブリッドの良さで動き出しはモーターからなので音も無くスムーズに動き出せる。つまり、あのアイドリング・ストップ後の動き出しの都度「クイックイッ・ブウーン」とセルが回りエンジンが掛かる鬱陶しさが無く、気持ち良い。
高速道路ではホンダ センシングの運転支援システムで、車線の中央を走るし、車間距離の維持など、殆ど手放しに近い運転が出来て楽ちんであったし、それこそ片側1車線の高速道路では車線維持支援が有効に働くだろう・・・但し、60km/h以下では切れるので注意が必要だ。
今後は自動運転に向けて、より快適に、そして安全性が上がることだろう。
さて、信楽に向かったのは、高速道路や一般道の走行テストと信楽の野山の美しい景色や信楽焼の焼き物が見たい為なのだが、
それと、実は美味しい日本料理の店があるからだ。
もう、何度も行きつけている店であるが、今回も美味しい料理を戴くことが出来た。