鈴鹿に住んでいると「ゴーッ!」という音で目が覚めることがたまにある。
ベランダに出てみると、すぐ近くに熱気球が浮いていたりする。
それは「鈴鹿バルーンフェスティバル」が開催されるからでもあるが、しかし、これまで会場には一度も行ったことが無く、今年初めて行ってみた。
この「鈴鹿バルーンフェスティバル」は「熱気球ホンダグランプリ」という熱気球競技大会の1戦にあたるということだ。
下の写真のように栃木県渡良瀬、長野県佐久市、岩手県一関市、佐賀県佐賀市、そして三重県鈴鹿市の5戦で行われ、つまり最終戦になる。
会場は鈴鹿川の河川敷で、実は我が家から車で5分位のところだ。
金、土、日の3日間開催であり、タイムスケジュールによると競技飛行は毎日6時30分~10時となっており、まずは金曜日に早起きをして向かった。
そよ風だと思ったが、その日の競技はキャンセルとのことだった。
続けて土曜日もそよ風だったが、キャンセルだった。
天気予報によると金・土ともに風は2m/sで、これだと飛べないんだ。
そして日曜日、風速1m/sで、やっと競技は開始されることになった。
そうか、3日間開催するのは3日共に飛ぶというよりは、風待ち、いや凪待ち、という意味があるのかも知れない。
上の写真は「午前の競技はキャンセル」の文字が目立つが、実は競技の種類を示したもので、実に20種類の競技が説明されている。
競技内容はその時の天候と風向きで決定されるのだが、日曜日の競技は”フライ・イン”という形態の競技で、この会場から飛び立つのではなく、各パイロットはここから3km以上離れた各自の選んだ場所から離陸して、ここのグラウンドの中心をゴールとするもので、ゴールの十字マークにマーカー(吹き流しの付いた砂袋)を投下し、ゴールに近いほど得点が高い、という競技だった。
よく見ると空に点々がいくつもある(クリックして拡大して頂くと良いが)。それらがバルーンで、このように遥か遠くから、まさに風の力だけで、このグランド中央に画かれた十字を目指してくる。
やはり風は北西から南東へと流れていた。
待つこと数10分、2機のバルーンがゆっくりとこちらに向かってくる。
バルーンのコントロールはバーナーを焚いて上昇するか、冷やして下降するしかなく、ただ風に乗っているだけなのに、このゴールに向かって、ゆっくりゆっくり近づいてくる。
そして、見事にゴール近くに降りてきて、青いマーカーを投下(投げてはいけない)した瞬間だ。
地面の赤い十字マークがゴールで、まさに間近かまで寄った。
場内放送が拍手を促すと、つめかけた観客からは大きな拍手が上がった。
後ろから飛んで来ていたバルーンもゴールの直近に・・・ただ、下降し過ぎて着地してしまった瞬間だが、着地は減点の対象になるらしい。
それにしても、操舵もなくピタリとゴール間近に来られるものだと感心する。
この日、20機のバルーンが競技に参加していたが、多くのバルーンが風の読み間違えでゴールに向かえなかった、珍しいことらしいが。
そんな中、超低空飛行で、まるで風向きの反対方向に進んできたバルーンが1機、そして鈴鹿川を越えて、こちらに向かうが、川の上は大体流れに沿って風は流れるようで、残念ながら東に流されて行ってしまった、しかし、すぐにバルーンは急上昇し、かなり高いところに行くと止まり、再び西にゆっくりと移動し始めた。
やはり風は場所によって向きが違うことを見せてくれた。
そして、再び降下してターゲットの間近まで来てマーカーを投下した。
写真は、あまりの見事さに見とれてシャッターチャンスが遅れたもの。
このパイロットは世界ランキングでも、確か6位とか放送していたが、これまた拍手喝采だった。
私が携わるモータースポーツの世界は高速の世界で0.1秒を競う世界だが、このバルーンの競技は全く逆に、ゆっくりゆっくりと競技が展開する、しかし、不思議なことに全く退屈しないし、飽きずに何時間も見ていた。
それは、競い合うスポーツの面白さと共に、道具を使うスポーツとして技術の面白さ、を愉しめるからだろうと思う。
この鈴鹿バルーンフェスティバルは例年開催されているので周知のイベントで、金曜日から3日間共に多くの観客が見に来ていた。
バルーンフェスティバルは競技飛行の他にも、誰でも乗れる係留飛行体験や、子供達による無数の風船飛ばし、その他、いくつかの催し物があり、ご当地キャラの登場などもある。
また露店も並び、飲食ブースや企業ブースも設けられるなど大盛況のイベントで、もはや「鈴鹿の秋の風物詩」ともなっているようだ。
こうして、バルーンフェスティバルを間近で見られる鈴鹿に住んでいることは幸運なことだと思う。・・・私のお国自慢かな。