いやー、買ってしまった。
イギリスのDapol社から新しく出たA4型機関車の「Mallard」。
デジタル・サウンド仕様で煙も出る。
”ブラックラベル”なる新設定の高品質バージョンで、ご覧のように立派な箱に入り、両サイド入っているオプションパーツや注意書きの用紙と共に、模型では珍しい「オーナーズマニュアル」まで備わっている。
各部のクオリティは高く、よって価格も英国型模型としては最高値あたりで、買うのは無理だと思ったのだが・・・数日後、新幹線で東京に向かってしまった。
前述のオーナーズマニュアルとは別に、下のような「証明書」も入っていた。私の購入したマラードの製品番号は040/400番で400台が生産されたようだ。
因みにA4型はマラード以外に3種類の設定があり、つまり1000数百台を生産というか中国に発注したのだろう。
話を戻すと、久しぶりにメディカル・アートさんのホームページを開けると新製品情報に「Dapol OOゲージ 1/76 LNER A4 ブラックラベル」が載っていた。
何か出来が良さそうなので電話をしてみると、これまでのDapol製品とは一線を画するもので、とても出来が良く発売早々に売り切れに近い状態とのことだった。
私は既にHornby製のマラードは持っていて、苦労をしてライトを取り付けたもので、今も元気に走り回っている。ただ、どうもスロー発進時のギクシャクした走りが気になってはいた。
それでも実物が1両しかないマラードが2両は必要無い、と思いつつ・・・
一方で、「Mallard」はイギリスの鉄道車両では、歴史的に見てもイギリスを代表する機関車であり、蒸気機関車の世界最高速記録(203km/h)を保有する車両である。
イギリスの鉄道模型を好む私だが「Mallard」のハイクオリティ仕様は持っておくべきではないのか、そんな影の声に囁かれてしまったようだ。
車体はダイキャスト製でそこそこの重みがある。塗装は少し艶有り状態で好ましい。
日本の蒸気機関車のようにパイピングが表に出ず、ツルリとした外観は日本的な目で見ると蒸気機関車らしくないが、1930年代から高速を追求し風洞実験まで行っていた先進性の賜物である。
ロッドはイギリス型はプレス打ち抜きが標準的だが、これはちゃんと造形されている。また、ロッド類を含み精度が高いのか、スロー速度からスムーズな走りを見せる。
裏返してみると、ブレーキシューやブレーキロッドが最初からキッチリ取り付けられている。
同様に、テンダー(石炭車)にもブレーキシュー/ブレーキロッドが最初から付いている。
因みに中央部の幾つもの長穴はスピーカーの音抜けの穴だが、さて、その後ろ、潜望鏡のように飛び出している部分が何か、お判りになるだろうか、当然、正転すれば下向きになる部分である。
実はこれ、ロンドンからスコットランドまで走るには、途中、蒸気機関の水の補給が必要で、本来どこかの駅で止まって補給するのだが、しかし、ノンストップで走らせる為に、ある区間で線路の中央に水槽を作り、このノズル部分を下ろして走りながら水を補給する、という離れ業を演じたもので、それほどまでにLMSの「ロイヤルスコット」とのスピード競争がし烈だった訳だが、この模型ではこんなところまで再現されている。
こうして、手摺り等も含めて最初から全て取り付けられており、自分で取り付る部分は無いのは有難い。
ただ、オプション部品は別で、径の大きな(ファインスケールの)従輪や、機関車シリンダー下部に付ける蒸気の排出管などは急カーブに対応出来ないので最初から取り付けられていない。
要するに展示仕様はオプション品でということで、親切な設定と言えよう。
あってはイケない2両の「マラード」。
向こうが以前からあるHornby製で、手前が今回購入したDapol製品。
他のイギリス型同様、キャブ内部はこのように作られており、火口は少し開いた状態だが、実は中に赤いライトが備わっている。
連結面の9Pコネクターで配線をテンダー側と繋ぐ。
そのテンダーの機関車側連結面。給水ノズルの上下バルブなのか、ハンドブレーキなのか、複数ハンドルが備わる。
そのすぐ下の左右に溝のある部分が機関車との連結器。
その下に9Pコネクターが固定されている。
斜め後方から見る。向こう側はライバルたるLMS「ロイヤルスコット」を牽く「ダッチェス」。
煙はモヤモヤと出るのだが、発進時にはドラフト音つまり“シュッ・シュッ”に合わせて“ボン・ボン”と吐き出す。
また、下のシリンダー部からも蒸気(煙)を吐き出すようだが、まだ試していない。
加えて、ホイッスルを“ボーッ”と鳴らすと、同時に蒸気が噴き上がる。
無論、前述のシリンダー部同様、蒸気ではなく煙で代用している訳だが。
そうだ音。このホイッスルの音も澄んだ気持ち良い音だが、搭載されているサウンドは全体に音質が良く、ドラフト音も4気筒の忙しい音が軽快に響く。
また、コントローラーのファンクション3(F3)を押すと投炭、つまり石炭を入れるシャベルの音が出るが、それと同時にキャブ内部の火口に、炎のようなチラチラした光が発される。
因みにファンクションは21まで色々設定があるが、私のコントローラーでは12までしか操作出来ない。
LNER マラードの牽く「フライングスコッツマン」。
この客車との組み合わせ、やはりシックリ来ます。
実車は結構ピカピカだった。2016年イギリス国立鉄道博物館にて。
尚、Dapol MallardのYou Tube動画は下記で見られます。
https://www.youtube.com/watch?v=CgCqNWAw1IM