ポルシェ911 turbo S

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レースをやってきたお蔭で、と言っていいのかどうか判らないが、思えば色々な車をサーキットで走らせて頂いている。
しかし、最もサーキット走行に適している車のひとつであるポルシェ911で走ったことは無かった。
今回、そのポルシェでもホットバージョンである911turboSに鈴鹿サーキットで乗せて頂く機会を得た。


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ポルシェ911turboSはカタログによると、
リアエンジン6気筒 3,800cc
最高出力427KWつまり580ps
0 ~ 100km/h 加速 2.9秒
最高速度330km/h
7速トランスミッション
ついでに車体本体価格2,599万円(税込)という代物だ。
このスペックを見ると怪物的であり、乗るのに恐れをなすが、
ところがまず一般道を走り始めると、ごく普通に、実にスムーズに走ってしまうあたりが素晴らしい。
聞くとオーナーの奥様はスーパーに買い物に行く時にも利用されている由。
と言うように、実はとても乗りやすい。
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とは言え、サーキットを走るとなると、価格が価格だけに事故らぬように、肝に銘じて走ることになる。
シート形状、座り心地はホールド性を含めて良い。ポジションも自然な形が取れた。
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コックピット・ドリルは受ける程のことではく、走行モードをセンターコンソールのボタンで「SPORT PLUS」にするとステアリングの左スポークに表示される。
このモードがサーキット用で、何処と何処がどうなるのか知らないが、きっと今の電子制御の素晴らしさで、サーキットにドンピシャリのセッティングをしてくれるのだろう。
そして走り出す。アクセルに応じて想像以上のパワー/加速が伝わってくる。最初は車が速過ぎるので加減しながら車に慣れるようにしていくが、面白いのは、シフトをパドルで「落とそう」と思ったタイミングに、勝手にファーンと落としてくれる(当然、ブリッピングを含むのでシフトショックは全く無い)。シフトアップはフルスロットルにすると最高回転あたりで自動的に上げてくれるので、これは慣れぬパドルシフトで操作するより車に任せておけば、つまり、オートマモードのままで、全くのレーシング・ドライブが出来てしまう。
これも「SPORT PLUS」モードのセッティングなのだろうが、イヤー見事!
さらに全開走行に入ると、車は速い速い、他の走行車をいとも簡単に抜いて走る。
4輪駆動を確かに感じるほどの走りでは無かったので、その恩恵はあまり感じなかったが、それでもヘアピンやショートカットの立ち上がりで、このビックパワーでリアが出ずに立ち上がって行くのは4輪による加速だった為なのだろう。
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このリアウイングは高速になると、せり上がる。リアだけ押さえてもいけないので、同様にフロントのスポイラーも伸び出す構造になっているらしいが、運転していて見えないのでウイングが上ったことは感じなかった。
しかし、130R手前では250km/h前後出ていたが車の安定度はとても高く、つまりダウンフォースがしっかり効いていたのだろう。
そう言えば、一度デグナー入口の高い縁石をカットした時に、妙な操舵を伴う揺れがあった。おそらくロアーアーム付け根かどこかのラバーブッシュが揺れて、一瞬アライメントを狂わすのだろう。
このあたりはロードゴーイングカーたるところで、ラバーブッシュにより普段の道での乗り心地、キックバックを防いでいる。レーシングカーでは遊びゼロのボールエンドを使うので、サーキットではドンピシャで走れるが、一方、一般路などガンガン来て乗れたものでは無い。
ロードとサーキットの違いは実に大きい。よってサーキットのテストやタイムのみで車を評価するのは全くおかしい・・・せめて買い物にとまで言わないが、最も大切なのは一般道での普段の走行であるはずなのに。
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ショートカットのブレーキングの最中にカクンと揺れ、ペダルにも反応があり、少しペダルが奥に入った。ブレーキの効きが落ちることは無く危険感は無いが、気持ち悪い、これが時折り出た。
後で詳しい人達と考えるとABSだろうと。私はガーンとブレーキを掛けず、踏力を増やして行ってMAXに持っていくので、そのMAXになった時にABSが働き始め、その瞬間にカクンとロックを防ぐ為に一瞬緩めるショックがあったのでは、という結論になった。
本当に、非常によく出来た車だけど、ここは惜しいね、もうひと頑張りしてほしいところですね。
何れにしても、このポルシェ911turbo Sは、普段の道を、ごく普通に走れて、そしてサーキットを全開走行してもレーシングカー的に走り、一般的にサーキット走行では最も問題となるブレーキの焼けも無くて終始良く効いた。と言うように大きな問題など全くなく快調に走り終えた。
レイアウトとしてのリアエンジンの不利さなど全く感じさせずに・・・
ポルシェのポルシェたる所以でしょう。
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