前回のイギリス鉄道旅行がLNER(London and North Eastern Railway)だったので、次はやはりLMS(London, Midland and Scottish Railway)でなければならないだろう。
両社はその昔、ロンドンからスコットランドに向けて競合していた会社で、LNERは「フライング・スコッツマン」を、そしてLMSは「ロイヤル・スコット」を共に10:00にロンドンを出発させて到達時間を競った「北への競争」の歴史がある鉄道だから。
写真はLMSの蒸気機関車「ダッチェス・オブ・ハミルトン」1938年製。
今回、ヨーク駅に隣接するNational Railway Museumを訪れた時に写したものだが、この「ダッチェス」と蒸気機関車の世界最高速を記録したLNERの「マラード」を見るのが大きな目的だった。
昔の競合機関車も、この博物館では言わば仲良く並んだ形で見ることが出来る。右側の青色がLNER「マラード」。
それにしても、イギリスの蒸気機関車の実車の美しさには、改めて感銘を受けた。
因みに、この博物館はイギリスで最も大きな鉄道博物館で展示車種は多く、日本の新幹線100系があることでも有名だが、たまたま私が100系の前を通ると、係員の方が集まった人達に日本の新幹線の説明をしていた。
「イギリスの高速列車は200キロで走りますが、日本の新幹線は300キロで走ります・・・」などと、何か嬉しかったな。
さて、現代のLMS路線だ。
写真はスコットランドとの境界の駅、「カーライル」に進入して来るグラスゴー発ロンドン行きバージン・トレインズのClass390 ペンドリーノ。
美しいデザインの車両で、イギリスの鉄道車両特有の黄色警戒色にバージン・カラーの赤、そして黒いマスク?が程良くバランスして、丸いデザインと共に存在感がある。
車内のデザインも素晴らしく、ファースト・クラスは大きなテーブルを置く対向式のクロスシートタイプが多く、また、そのシートは誠に座り心地が良いものだ。
この室内のセンスの良さ、ゆったり&快適度は日本の鉄道車両より遥かに優れているではないか。
今回の旅行では「ブリットレイルパス・8日間・1st Class・シニア/\53,100」を事前にネットで購入しており、全ての路線でフリーパスとなる便利で大変格安なものだ。
またファースト・クラスは座席指定をしなくても、必ず空いているので座席が確保出来た。
カーライルから乗り込んで席を取ると、すぐに食べ物/飲物のサービスが来た。夕方だったのでサンドイッチ/ポテトフライ/ジュースなどを頂いたが、流石はバージン・グループ、車両だけでなくサービスも行き届いている。
カーライルあたりから南は湖水地方の東の端を通るので、いくつか湖が見えるものかと思っていたが全く見ることは無く、ただ時折、川が見られる程度だった。
しかし、起伏に富んだ地形の中を走るので右に左にカーブが多い。そんなカーブも飛ばして走っているが、よく見ると車体が大きく傾いている。
「あれっ、振り子か?」それまで私は気付かなかった。
このClass390はイタリアのフィアット社が開発した強制車体傾斜システム(振り子)ペンドリーノを採用した車両だった。
それはカーブの多い、この路線にピッタリの車両で、200キロ近い速度で車体を大きく傾けて走る姿は壮観である。
「いや待てよ、では昔は、あの大きな図体のダッチェスが、この連続するカーブをLNERに負けじと飛ばしていたのだろうし、それは、まさに壮観だったろうな」
などと、起伏があるが故に訪れる、美しい景色を見ながら想像を膨らませた。
リバプールで1泊した私は、翌日リバプールからロンドン・ユーストンまでもペンドリーノに乗車した。
どうも、この7番線はペンドリーノ専用ホームのようで、すぐ右側にはバージンのレセプションもあり美しいエントランスになっている。
しかし、イギリスの各列車のファースト・クラスの車両はロンドン寄りに連結するようで、つまりリバプールでは、このホームの先まで歩くことになる、すると屋根は無くなり雨に濡れるじゃないですか・・・もう一寸頑張ってほしかったですネー。
リバプールと言えば、私がイメージするのは何と言っても“ビートルズ”だ。
港にある「ザ・ビートルズ・ストーリー」という博物館的な所を見学して(日本語ガイドもあった)、そしてやはり「キャバーン・クラブ」は外せない。
午前中というか開店早々に訪れたのでライブ演奏等は無かったが、しかし、落ち着いて見ることが出来たし、ステージを見ながら飲んだギネスビールがまた旨かったな。