普段の中で

Others

朝、いつものようにウオーキングに家を出ると、近所の方が息を切らして前かがみに立っていた。
見ると足元で子犬が飛び回っている。
「おはようございます、可愛いいですね」
と声を掛けると、犬は私にジャレついてきた。

私が犬好きなのは、たちまち犬には判るらしく、大抵の犬は寄って来る。
その家の玄関が開くと、
「えーっ、もう回って来たのー」
と、奥さんが息を切らしている旦那さんに言った。
「いやー、引っ張られて走り回って・・・・ハア、ハア」
「駄目よ、犬にもちゃんと躾しないと、『止まれ!』ってやるのよ、一寸貸して・・・」
という声を後ろに聞きながら私は歩き出した。
少し歩くと後ろからランニングをする足音が近づいてくる。
振り返るのはチョットいやらしいので横に来るまでは見ないでいた。
私を抜いて行く。
チラッと見た横顔は50前後の人だ、明るい水色のTシャツに短パンで、まだ肌寒いのに元気だな。
やがて散髪屋の前を通る。理髪店というべきかも知れないが、年配の女性が一人で切り盛りしている。
私もずっとここで散髪をしてもらっている。
まだ店を開けて間もない時間だろうに、ドアのガラス越しに髪を切っている姿が見える。
何か、普段のことばかりなのに、何となく好ましい感覚が湧いた。
いつものコースを40分余り、ひと回りして来て、
お付き合いのある家の庭先を通ると、家庭菜園の手入れをしている。
”一寸、寄ってくか”と、

〇庭.jpg
「精が出ますね」
私は畑に入って行った。
「ああ畑川さん、どうも、種を撒いたニンジンから芽が出て来てね・・・」
「へえー、こっちはネギですか」
「ネギでも、これは玉ネギ。4列全部種類を変えてあって・・・」
「玉ネギにも色んな種類があるんだ」
などと、ひとしゃべりして、
「じゃ」
と、私は家に向かった。
こんな、のんびりした時間は現役時代には取れなかったというか、取ろうともしなかったのかも知れないな。
とはいえ、明日からはいよいよレースシーズンが開幕する。
さあ、またサーキット通いが始まるのか・・・

タイトルとURLをコピーしました