その昔、好景気に湧いていたイギリスでは、各地で鉄道建設が盛んで、投機対象ともなり、あまりに増え過ぎて300社にもなった鉄道会社を、政府は強制的に4つのグループに分類した。
それがビッグ・フォー(Big Four)と呼ばれ、1923年に始まり1947年まで続いた。それはイギリスの鉄道が最も華やかだった時代である。
そして、鉄道が斜陽となる1948年からは全てが国有化され、つまり国鉄(British Railways)となり、現在は再び分割民営化されている。
上の写真では、その”Big Four”の、それぞれ代表するような機関車を並べたものだ。
全てデジタルコマンドコントロール・サウンド(DCC Sound)仕様で、やっと揃えることが出来たので、模型と共に”Big Four”を振り返ってみたい。
“Big Four”とは次の鉄道会社からなる。上の写真では左の列車からの順序。
・Great Western Railway (GWR)
・London Midland and Scottish Railway (LMS)
・London and North Eastern Railway (LNER)
・Southern Railway (SR)
“Big Four”のエリア図。
本来、様々な鉄道会社を4つに統合させたものであり、それらの路線は縦横に走っており、図のような国境線のごとくエリアをキッチリ分けられるものでは無いのだが、あくまで説明上、私が勝手に作ったエリア図であり正確さに欠けることをお許し願いたいのだが、でもまあ、イメージとしてこんな感じだと思う。
このエリア図を頭に入れて頂き説明に入りたい。
Great Western Railway (GWR)
グレート・ウエスタン鉄道は、上のエリア図の緑色の部分、ロンドンから西の地域であり、正確にはイングランド南西部、南ウエールズ地方を結んでいた。
ロンドンの基点となる駅は主に“パディントン駅”になる。そう、あのアガサ・クリスティの推理小説「パディントン発4時50分」の。
クリスティ自身、イギリスの南西部の出身であり、GWRを頻繁に利用したようで、小説のイメージとして捉え易かったのだろう。
写真はエクセター(エリア図GWR文字下のところ)近くの海岸沿いで、右手のホテルに昔に泊まったことがあり、写したものだ。
この地方には、こうした海岸線もあるし小高い丘も散在し、イギリス中央部が比較的平坦で平凡な景色であるのに対して変化に富み、いわゆる風光明媚な沿線と言える。
下の模型写真はCastle Class機関車の牽くGWR客車で、まさに「パディントン発4時50分」に登場する列車に類似する。ただ、テンダー(石炭車)の横に本来はGreat Westernの文字が入るのだが、このマークは国有化後のBritish Railwaysのマークではある。というのも、DCC Sound仕様は残念ながら、このマーク入りしか無いためだ。
ということで機関車は、デジタルコントロールでスムーズな走行と、サウンドからは様々な音が出る。
“シュッシュッシュッシュッ”と4気筒のドラフト音、汽笛、インジェクター音、ブロワー音や石炭を入れるシャベル音など、
中でも、この機関車の汽笛が少し高い音で「フォーーーッ」と、むせび泣くような音色が何とも言えない。
まさにアガサ・クリスティの世界を彷彿とさせるのである。