ニューヨーク州の東隣り、コネチカット州はとても美しいところだ。まず一般的に訪れることは少ないところだが、私は仕事の都合で2度訪問した経験がある。
その景色の美しさ、そして穏やかな環境がとても気に入った。
「怒りのアメリカ東海岸旅行記」では、トラブル続きのデトロイトや、大都会のニューヨークと対比するようにコネチカットの美しさや出来事を紹介したが、本には書かなかった部分を少し紹介してみたい。上の湖の写真は、朝の散歩の時に行き着いた湖岸から写したものだが、特に有名な場所でもなく、コネチカットでは、ごく自然にこうした場所に出くわすようだ。
この写真の建物はホテルでも何でもない、こんなに綺麗な民家がいくつも、ごく普通に並んでいるのである。
きっと自然が美しいところでは、そこに住む人々も美的な意識が高くなるのだろう。どこの家も美しく保たれているし、そして家の周りの手入れもとても行き届いていた。また、星条旗を掲げている家も見受けられたが、アーリーアメリカンな家には、国旗が誇らしげというよりは、ごく自然に馴染んで見えた。
そして、仕事で訪問した会社でも感銘を受けた。
日本では会社は仕事の場、時には戦場的な意味合いを持ち、美しさや、ゆとり的なことは受け入れる体質を持たないが、私の訪れたその会社は、何とも豊かな雰囲気を醸し出していた。
建物は木造の2階建(骨格に鉄骨が有るのかも知れないが)で、内部も木の味を生かしたデザインが素晴らしかった。各仕事場も非常にオープンな雰囲気で、しかし、非常にハイレベルな実務をこなしていた。
これは2階の日本で言う社員食堂だが、多分にリビング的である。下の階は吹き抜けなので、この場所からは、あちこちで人が働いている姿がよく見下ろせたが、結構、みんなリラックスして仕事をしているように見えた。
この会社はスキップバーバー・レーシングスクール(SBRS)と言い、名前のとおりレーシングスクールを運営する会社だが、アメリカで最も大きなレーシングスクールであり、全米をほぼ制覇する勢いで、また、独自のレースシリーズをいくつも運営しているが、全て自社の保有する車をレンタル方式として行うもので、今やアメリカでレースに入門する殆どの人がSBRSのレースから導入するに至っている。
というように、この自由な雰囲気からは、その勢いを想像し難いのだが、しかし、そう思うのはこちらが日本的感覚だからで、こうした、自由でゆとりのある雰囲気だからこそアイデアとパワーが出るのだと理解せねばならない。