阿下喜駅からはタクシーで10分あまり、今度は同じ三岐鉄道でも三岐線(ゲージはJR在来線と同じ1067mm)の東藤原駅に向かった。
その東藤原駅に着いて驚いた。
以前に来た時には、いかにも地方鉄道の古い駅舎だったが、まるでイギリスの駅のような立派な駅舎に変わっていた。
思わず、私のイギリス型鉄道模型のメーカー Hornby製では、と思ってしまったほど。
この三岐鉄道三岐線は、隣接するセメント工場(太平洋セメント藤原工場)からの貨物輸送を主体に建設された路線であり、今も貨物列車が頻繁に行き来する私鉄では珍しい鉄道である。
また、三岐鉄道の貨物輸送はセメントの輸送だけでなく、意外にも火力発電所への輸送を行っている。
セメント工場では鉱山から出る石灰石を砕き炭酸カルシウムを取り出す。それを愛知県の碧南市にある火力発電所に富田駅からはJRを経由して輸送しているのである。というのも炭酸カルシウムは火力発電所内の排煙脱硫装置で使用されるとのこと。
面白いのは、今度はその火力発電所で燃焼後に出るフライアッシュと呼ばれる石炭灰をまた東藤原のセメント工場に運んで帰るのである。そのフライアッシュはセメント原料として利用されるということなのだ。
というように、段取りが良いというか、資源循環の輸送をしていることになる。
セメント工場のある東藤原駅から西に2駅、三岐線の終点となる西藤原駅に向かった。
因みに、旅客輸送の電車はご覧のように元西武鉄道の車両を使っている。
西藤原駅には蒸気機関車を含み3両の機関車が静態保存されているが、その手前には小さな線路が敷かれている。ウィステリア鉄道という、5インチゲージのミニ鉄道である。
この日も子供さん達を乗せて走っていた。
機関車トーマスのようだが、ロッドが付いていないのが寂しかったかな。
西藤原駅からは今度は東の終点、近鉄富田駅へと一路向かう。
途中、丹生川駅には貨物鉄道博物館があり、写真の東武鉄道の蒸気機関車ネルソンを横に見るが、当日は開館していないので通過する。
それにしても三岐鉄道は阿下喜駅に軽便鉄道博物館があり、西藤原駅にはウィステリア鉄道、東藤原駅は英国駅舎、そして壬生川駅に貨物鉄道博物館、というように鉄道趣味の人を楽しませる施設が多々あることに感心する・・・偉い!
そんなこんなで約45分程度乗車で近鉄富田駅に到着する。
が、これで終わりでは無い。
近鉄で僅か3駅、四日市駅に移動すると、そこにはもう一つのナローゲージ「四日市あすなろう鉄道」がある。
「四日市あすなろう鉄道」の四日市駅。
殆ど近鉄のガード下に駅はある。というのも、つい先日とも言える3年前までは近鉄の内部線(と八王子線)だった。
近鉄がバス路線化にしようとしたところ、四日市市が鉄道路線での存続を要望し、2015年から近鉄と四日市市が出資する新会社で「四日市あすなろう鉄道」が運行を開始した、という次第。
車両は全てリニューアルされ、室内もご覧のように、とても綺麗で、現代版のナローゲーシ車両と言えよう。
新車ではなくリニューアル車両を証明するように、吊り掛け駆動方式で「グオーン・・・」と平歯車のギア音も高らかに加速する。そう、下廻りは以前の車両のままであることが判る。
見学に行ったのは、あすなろう四日市駅から僅か2駅の内部線と八王子線の分岐駅である日永駅。
写真の直進が内部線、内部方向で、右側の車両のある方が八王子線、丁度、終点の西日野からの車両が停まる。
ナローゲージ鉄道とは言えど、なかなか良い雰囲気のある駅である。
ここからは、また「グオーーン・・」という音と共に四日市に引き返した。
こうして“3ゲージ踏切を見学し”“ナローの北勢線を全線乗車し”“狭軌の三岐線の貨物や保存車両の見学と全線乗車”そして“やはりナローの四日市あすなろう鉄道の見学”をした。
途中、私が1時間スケジュールを間違えていたり、阿下喜でタクシーが居なかったりと、いくつかのトラブルがあったが、何とか最後にはオンスケジュールに戻ることが出来た。
ということで、解散?
とんでもない、つまりオンタイムで四日市の「アサヒ ビアケラー」に入れた訳で、ここから肝心の“打ち上げが”始まるんじゃありませんか。
趣味の合う方々との飲み会は実に楽しい。
鉄道の話ばかりかと思いきや、皆さんクルマも好きで、ドイツ車・フランス車・GTRやプリウスの話等々、何故かクルマ談義に花が咲いてしまったんですけどね・・・・
いやー、お疲れさまでした。