昔、夏の暑い日、何処かに出掛ける時には「海か、山か?」などと思案したものである。
歳を取った今は、海などは考えられず「山!」
ということで信州に向かった。
タイトルの写真はご存じの上高地の河童橋。
後ろにそびえる穂高岳を見上げる美しい景色で、中腹から上に見える白い筋は万年雪が残る。
肌寒いのではと上着を忍ばせてきたが、流石に真夏の最中であり、多少は涼しいが、思う程でもなかった。
しかし、橋の下を流れる澄み切った梓川に手を入れると、痛いほど冷たかった。
このあたりの標高は約1,400m。思えば、私の住む三重県での最高峰は鈴鹿山脈にある御在所岳で1,212mだから、流石に上高地の水の冷たさと感心した。
河童橋を見下ろす見晴らしの良いレストランで昼食を摂るが、この上高地で宿泊する訳では無いので辺りを散歩して引き上げることになる。
それでも、久しぶりの木々の中を歩き、その空気の気持ち良さを感じることが出来た。
話は前後するが、国道158号線から分かれて上高地に向かうトンネル。ここから一般車は通行止めとなる。
往路、知らなかったので、一旦、ここまで来て通行止めを案内され、引き返して駐車場とバス乗り場のある”さわんど大橋バス停”まで戻った。
その駐車場のあたりに「上高地はここからバスかタクシー」と書いてあったのだが、パスしていた。
いや、それにしても、もう少し早めに案内看板を出してほしかったね。
ということで、駐車場に停めて、バスで上高地に向かったのだが、一般車通行止めとなる上高地への道路は狭く、バスは対向車がある度に退避出来る所で止まりつつ進む、確かに、こんな道に一般車を入れては大変なことになる。
よって、上高地へはバスかタクシーで行くことになるのだが、一方で良い商売をしているなとも思う。バスは往復2,300円で乗車率が高く、30分ヘッドで運行しているのだから。
写真は帰りのバスを待つ上高地駐車場、列は後ろにも長く、バスは満席になる。
それにしても、久しぶりにバスに乗ったのだが、運転せずにゆっくりと景色を見られるのも良いものだ。バスの車窓、大正池から見る穂高岳もまた美しかった。
宿泊は上高地から近い白骨温泉に泊まった。
急峻な山合いに建つ旅館は風情があった。
空気は涼しくなり、内湯や露天風呂をゆっくりと楽しめた。
面白い作りの旅館で、見えている玄関のある棟と、一番奥にある温泉棟は風情のある古いものだが、その間にある宿泊棟はリニューアルされていて、大変清潔で広く、たらふくの食事と共に快適に過ごすことが出来た。
朝、散歩に出ると、澄んだ朝の空気と山間いから見る緑の美しさに圧倒された。
余りの気持ち良さに20~30分歩いたが、すっかり体が冷えてしまい、旅館に戻ると即温泉に向かい体を温めたほど。
帰りには高山に立ち寄った。
因みに、高山の古い町並み保存地区では、観光客は殆どが海外からの人(最近はインバウンドと呼ぶらしいが)だった。
今回の道程は、行きは鈴鹿⇒名古屋⇒中央道⇒長野道⇒松本⇒158号線⇒上高地だったが、
帰りは、158号線を西に向かい高山市内⇒東海北陸道⇒名古屋⇒鈴鹿と、ぐるりと中央アルプスの周りを回るルートで、帰路の方がかなり短い。
遡るが、往路は中津川で一泊しており、そして諏訪湖の横の茅野で旧友を訪ねていた。
50年以上も前の友人で、年賀状のやりとりにのみになっていたが、私も歳ゆえ、何人かの親友を無くしており、ふと、彼に会いたくなったのだ。
会社を経営していたが、すでに引退してゆっくりしていた。
良かった。
高山の宮川に掛かる有名な中橋から上流を見る。
反対側は有名な朝市の開かれる川岸の街並みになるが、こちら側は涼やかな水と、生い茂る草木が美しかった。
今回の旅行では、山深い地域を周ったので、木々の「緑」が印象的で目に焼き付いた。
やがて標高、いや海抜20mの自宅に帰ると、暑さの中に舞い戻った。
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