写真は、ロンドンからスコットランドへと東海岸線と西海岸線で競っていた両機関車、東のLNERマラード(向こう側の青い機関車)と、西のLMSダッチェス(手前側の赤い機関車)
で、まさにイギリスを代表する高速機関車である。
と、いつも来客時には説明するのだが、困ったことがあった。
それは、ダッチェスが時々脱線するのである、何故かダッチェスだけが。
模型列車は走らせて脱線すると、まさに興覚めである。それまでの能書きは飛んでしまい、オモチャの世界にも成りかねない。
このゴールデンウイークにでも、完全に「ダッチェスの脱線」を治そう、と実行した。
まずは脱線の場所の特定だ。
厄介なことに、このトンネル内で、ゴトゴトッと聞こえて、時にはショートして電気をストップさせてしまう。
脱線は写真のこの場所だった。レイアウトの奥側の部分で、本来なら人が入れないのだが、実は私のレイアウトにはキャスターが付いていて移動式にしてあるので、レイアウト全体を引っ張って奥側に入り込んで写した写真である。
ここだ、線路はKATOのHOユニトラックを使っているのだが、下り勾配の最後になる、その継ぎ目の先で脱線をする。
先台車の前の車輪が、ここで少し浮き上がるようだ。
KATOの線路は道床部分の剛性が低く、勾配の終了地点で少し捩じれているのだろう。
どうも若干、逆カントになっているようでもある。
私のレイアウトは変形8の字を描くかなり長いエンドレス(周回路線)だが、その全周の中で、ここだけで脱線するのだ。
とは言え、沢山ある機関車の中で、このダッチェスだけが脱線するので、主な原因は車両側にあり、この先台車にある。大型機関車ゆえ、先台車の車輪の2軸間が長く30mmもある。例えばマラードの場合は25mmである。
実は、ダッチェスの機関車は、これまで製造ロット別に3両保有しており、やはり、どれもダッチェスは脱線しがちであった。それぞれ先台車の構造を変えてきていても、ダッチェスは脱線しがちなのだ。長い車軸間の割に上下動や捩り対しての構造が良くないのだろう。
そこで考えたのが、線路側で対応しようとガイドレールによる対策だ。
通常の内側線路をガイドするものと、外側をガイドする方法も試してみた。
KATOの線路は枕木面から2.5mmの高さで、よって、0.5mm高い3mmのプラ角棒をガイドレールとした。
HORNBYの車輪を置いてみると、線路の内側にガイドレールを付けると、このように外側車輪はグイと内側に寄り、よって外輪が浮き上がっても脱線することは無いハズ。
因みに、HORNBYの車輪のバックゲージ(車輪の内側幅)は14.3mmであった。
そして、3軸の大きな動輪も通過できるのか、少なくとも、手で押した感じでは無理なく通過出来そうだ。
実際の線路をトンネル内から外し、ガイドレールを接着した。
因みに道床の外側にはカント修正用のプラスティック片を貼ってある。
プラスティックのガイドレールは恰好悪いけど、そこはトンネル内の強み? で外からは見えない。
さて、あとはトンネル内に戻して、実走行で問題無く走るのか。
我が家の機関車は、ほぼ全てDCC(デジタル・コマンド・コントロール)仕様であり、ダッチェスもDCC仕様で、DCCコントローラーの低速から無事通過を確認しつつ、徐々に速度を上げて行ったが、乗上げや脱線をすることなく通過した。
写真は、これまで脱線しやすかった速度(35)に設定して、連続走行を試している。
ヤレヤレ、無事に走るようになったようだ。
レイアウトの奥に入って、無理な姿勢で作業をしたりと、模型の整備にも手間がかかるものである。
PS:もうひとつの脱線対策
実は、上記以外にもうひとつダッチェスの脱線対策を行っていた。
これもダッチェスだけなのだが、上記の脱線をしていたトンネルの出口にあるポイントで、何10週に一度ではあるが、分岐部で先輪が乗り上げて、写真のように脱線をしていた。
KATOの4番ポイントの拡大になるが、この分岐部(トングレール)の先端が、直線部のレールより僅かに段が出来ているのだが、ここで車輪のフランジが乗り上げて脱線をしていた。
方法として、レールを削ることにしようとホームセンターに行くと、何と、単4電池2本で動く小型のルーターを見つけた。
2mmのルーターを取り付け、外側のレールの内側を削った。
単4電池2本で大丈夫かと思ったが、しっかりレール面が削れた。
矢印の部分、線路の内側が削れて凹んだ状態にした。下の枕木部分も削れてしまっているが・・・
分岐側にした写真、矢印部で、トングレール先端は外側レールの凹み部に入っている。
これなら車輪のフランジが乗り上げることは無いだろう。
果たして、テスト走行を繰り返すが、ダッチェスは脱線することなくポイントを曲がるようになった。
かくして、このゴールデンウイーク内に我がレイアウト最大級の蒸気機関車、ダッチェスの脱線は無くなり、快調にレイアウトを走るようになった。
めでたし、めでたし!!
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