40年も前の話。
イギリス訪問3回目にして、初めてイギリス国鉄の列車に乗った。
これがイギリスの鉄道を好きになるきっかけだったのかも知れない。
写真はロンドンから東北東に約1時間のマニングツリー(Manningtree)駅。
機関車はClass47型で客車はMkⅠ型。当時は最も標準的な列車編成で、日本で言えばEF58とスハ42の編成といったところになろう。
このとき、MkⅠ客車の重厚さや快適さに感銘を受けた思い出がある。
それから35年が経ち、イギリス型の鉄道模型を始めたのだが、頭の隅にはClass47の牽くMkⅠ客車の列車を再現したいと思っていた。
バックマン(Bachmann)からはClass47のDCC仕様が出ていたので、当然、買い込んでいたのだが、顔の真ん中に大きく光る数字(列車番号?)の出るタイプで、サウンドも無いし、これでは違う。
それから数年が経過し、同じくバックマンからDCCサウンドバージョンが売り出された。
そして、顔にはちゃんとヘッドライトがある、これだ。
いつものメディカルアートさんにお願いしてイギリスから取り寄せて頂いた。
新旧のClass47。
やっぱり我々には見慣れない数字顔ではなくてヘッドライトじゃなくては。
そして、MKⅠ客車もブルー/グレー塗り分けの、まさに乗った時のもの。
やっと当時を偲ばせる編成が出来た。
そして一昨年、イギリスの保存鉄道NYMRを訪れた時に、懐かしいMKⅠ客車の編成に乗ることが出来た。
MKⅠ客車の座席、深く収まる快適なシートと、そして大きなテーブルがイギリスの特徴。
話は戻って40年前、ロンドン・リバプールストリート駅からマニングツリー駅に向かっていた。
このMKⅠ客車の座席で、向かい合わせた席には年配の紳士が新聞を読んでいた。
やがて、新聞を下ろして、こちらを見ると「次がマニングツリーだよ」と話しかけてくれた。
車掌の検札の時に私の行き先を聞いていたのだろう。
私が「ありがとう」と言い終わる前に、新聞を持ち上げていた。
イギリス国鉄のMKⅠ客車は1951年から1963年にかけて作られた標準型客車で、イギリス全土で使用されていた客車だが、イギリスの人は昔から、何と快適な列車旅をしていたのかと思う。
バックマン製のこのClass47、エンジンを掛ける時の音が凄い。
“シュルシュルシュル・ドッコン・ドコン・ドコン”という感じでエンジンが掛かるし、エンジンを止める時も、”シュー・カラーン・カラン・カラン”と、なかなかクランクシャフトが止まらない様子をリアルに再現している。
写真は本線を飛ばすClass47+MKⅠの編成。
“パーポー”などと汽笛を鳴らして走る姿は、精悍である。