これまでに私のレイアウトには、かなり多くの方が見に来られている。
その時の説明で、上の写真の列車は「あの有名なオリエント急行で、ロンドンからドーバーまでをこの列車で行き、ドーバー海峡は連絡船で渡って、フランスのカレーからは云々・・・」と話してきた。
最近、まてよ、確かに近年VSOE(ベニス・シンプロン・オリエントエクスプレス)としてオリエント急行は走っている。ただ、私のレイアウトは4大鉄道時代(Big Four 1923年~1947年)あたりを想定しており、どうもその頃のオリエント急行はパリから以東の列車で、イギリスにはオリエント急行は走っていなかったのでは、と解ってきた。
そうか、いくら適当に模型で遊んでいるとは言えども、嘘はいかん、と。私のレイアウトではBig Four時代の看板列車を走らせている。
例えば東海岸線のLNERは”マラード”の牽く”フライングスコッツマン”を。
西海岸線のLMSは”ダッチェス”の牽く”ロイヤル・スコット”を。
そして、サザン鉄道(SR)を代表する列車として”オリエント急行”だったのだが・・・
では当時、何がSRの看板列車かと言えばロンドン発パリ行きの”ゴールデンアロー”である。前述のようにドーバー海峡は連絡船で渡る。カレーからは「金の矢」がフランス語になり”フレッシュ・ドール”としてパリに向かう。
「そうか、オリエント急行からゴールデンアローに変更せねば」
と作業を始めることにした。
機関車はマーチャントネイビーでも流線形のスルッとしたボディに「金の矢」がドカンと貼ってあれば、お客さん?への説明が楽だ。
いや、その機関車は持っている。
そう、サウンド仕様を持ってるけど、実は牽引力が足りなくて4両のプルマン客車を牽いて坂を上れないのである。
牽引力の不足はモーターの出力の問題ではなく車体が軽いので空転してしまうのだ。
ということで輪荷重を上げるべく、機関車にウエイトを積むことから始めることになる。
Hornbyの車体の分解は簡単で、前後2本のネジを外せばパカッと開く。(写真は既に前後輪は外した状態)
さて、どこにウエイトを積もうか、シンプルな構造だけどモーターがドカンと真中に居るので、どうも隙間を見つけて載せるしかないし、当然、鉛のウエイトだけど鋳型が複雑になりそうだ。
さて、そこで取り出したのが、このマッハ模型の製品「ミクロウエート」だ。たまたま以前に買っておいたものだ。
写真は左が製品、右は試験的にボール紙で作った箱状のものに流し込んで固めたもの。
結局、ボイラー車体側に仕切を付けてミクロウエートを流し込んで固め、シリンダー部の上下に、これまた、探したら出てきた鉛板を載せた。
面倒なので改造前後の重量は計っていないが、とりあえず持てばズッシリ、これはイケる。
こうして約3%の勾配を、4両のプルマンカーを牽いて楽々と上るようになった。
いや、なかなか壮観。
無論、DCCなので手放しでもほぼ一定速度で走ってくれる。
これで機関車は完成だが、いや、まだ客車がある。
プルマン客車でもゴールデンアローに使用されている車両には矢印マークが付くのだ。
話を戻して、「オリエント急行は、当時は無かったのでは」などの話は石神井にある英国鉄道模型店「メディカルアート」さんで喋っていたのだが、凄いのはすぐに、ゴールデンアロー用の色々なマークの入ったシート製品が出てきてしまうことである。
これがゴールデンアロー用のシートで、ご覧のように機関車用のヘッドマークや車体横の矢印、何とイギリスとフランスの国旗、そして、小さくて一杯あるのが肝心の客車に貼る矢印マークだ。右側に3両分を切り出した状態。
写真、左側には FLECHE DOR、右にはGOLDEN ARROWを貼りつけた。
写真で検索していると、ロンドン・ビクトリア駅から出発する時に前側はFLECHE DORで後ろがGOLDEN ARROWだったようなので、一応そんなイメージを頭に入れておく。
こうして”オリエント急行”から”ゴールデンアロー”へと変身が出来た。
「この列車はゴールデンアローと言って、昔~し、ロンドンからパリに走っていた豪華列車で、いや、海は渡らないのでドーバーまでで、フランス側ではフレッシュ・ドールという同じ”金の矢”のフランス名の豪華列車が云々・・・」