テレビでは、東名高速で乱暴な車に前を塞がれて追い越し車線に止められ、乱暴を受け、後から来たトラックに衝突されて家族4人の内、両親が亡くなる、という悲惨な事故が各局で報道されている。
全く許せない事故・・ではなく事件だ。こんな乱暴な人間には厳罰が下されるべきだろう。
こんなにひどい話では無くとも、運転していると乱暴な運転に出会うことはままある。
後ろから煽られたり、前を抑えられたりした経験は多くの方があるのでは無いだろうか。
そんな折、以前にこのコラムで書いた「怒るより呆れよう」を思い出した。
「怒るより呆れよう」では冒頭の事件とは違って、運転する側の意識を書いたものである。
まずは最初に、ヨーロッパでよく使われる「怒りながら運転するな」という言葉を紹介していた。
下記は「怒るより呆れよう」より。
過日、発売されたオートスポーツ誌のコラムに、ヨーロッパの一般道での運転の話として「怒りながら運転するな」という、ヨーロッパでよく使われている言葉が紹介されていた。運転中は「怒りとフラストレーションは忘れるべきもの」ということだと。
いや、ご尤もである。
日本にも「飲んだら乗るな」をはじめとして、いくつもの標語があるが、この言葉は、そうした標語より格言的である。
日本の標語は基本的に、車は危ない、スピードを出すな、なるべく乗るな、という類のものが多く、車や運転に対してネガティブな発想が多い。
しかし、この「怒りながら運転するな」という言葉は、それこそ自動車が昔から生活に溶け込んだヨーロッパで、ポジティブに運転を捉えた上で、ちゃんと平常心で運転しなさい、と説得力のある言葉だと思う。
確かに、車を運転していると腹の立つことが多い。
「何と言う運転をするんだ」と他の車に腹が立ったり、「この渋滞はどこまで続くのか」など、イライラさせられることが多い。
それらのことが続くと精神的に怒って運転することになりかねない。
すると今度は自分が横着な運転をすることになり、信号が黄色になっていても無理に突っ込んだり、横から入ろうとする車に隙間を与えずに意地悪をしたり、高速道路では結構強引な追い越しをかけたりと、運転は怒ることで悪いスパイラルに入っていく要素が多分にある。
「怒りながら運転するな」という言葉は実に的を射ている。
では、怒らないようにするには、どうすれば良いのか、と一歩進めてみたい。
ここが本来、運転を思考する部分である。
とにかく怒らないこと、と頭で思っていても、前述のように「腹立たしい運転をする奴や、腹の立つシチュエーション」に出くわす。
そんな時、欧米人がよくやる仕草で、
両手を広げて「おーっ、ナンてことだ」とやれば良い。
つまり、呆れてしまうのである。
呆れてしまうと不思議と怒りに繋がらず、その後に尾を引くことが無くなる。
横着な運転で割り込んできたら、両手を広げて「おーっ、何て横着な人なんだ」と、上から目線で見下ろせば腹も立たない。
渋滞にハマッたら「オーッ、何て今日は道が混んでるんだい」と、手を広げて、少し首でもかしげれば、余裕も出ようというものだ。
そう、「怒るより呆れよう」だ。
そして、それ以前に「怒りながら運転するな」・・・だ。