家族で賢島に日帰り旅行に行くことになった。
自宅のある三重県鈴鹿市からは約100キロ余りの距離で近鉄特急を利用すると約1時間半、車なら伊勢自動車道と伊勢から下道を通ってやはり1時間半位と、程良い距離である。それで、どちらにしようかと。
結局、車で行くことにしたのだが、ひとつ変化を求めてレンタカーで新型プリウス(4代目)を借りて行くことにした。
以前に3代目のプリウスには乗ったことがあり、このコラムでも紹介した。
http://www.hatagawa.net/2012/05/post-166.html
果たして新型になり、どのように進化したのか知りたいところでもあった。
さて、賢島と言えば、今年『伊勢志摩サミット』が開催されたことで記憶に新しいが、今回訪れたのは『伊勢志摩サミット』の会場となったホテルでは無いのだが、すぐ近くにある「賢島宝生苑」で、しかし、ここもサミット時に議長国会見場として利用され、安倍首相が海をバックに世界経済における首脳の合意等々を話されたのが、この庭園になる。
サミット時には一時的にこの芝生の上に舞台を作られていた由。
プリウスは確かに進化していた。
3代目でも、モーターとエンジンというふたつの動力が、実にスムーズに連携していることに感心したが、新型はより一層スムーズに感じる。また加速感は3代目がスポーティな感覚の高加速を感じだが、こちらはスムーズさが増し、もう少し大人になった感じがする。ただ静かで落ち着いた感じなので知らぬ間にスピードが出ており、時々スピードメーターを見て速度感を補正する必要があった。
乗り心地も落ち着きを増した印象で、ランク上のカテゴリーになったイメージだ。よって高速道路でのスタビリティも高い。
新型で明らかに進化したのはブレーキだ。というよりも3代目プリウスでとても気になったのがブレーキの過敏さで、回生ブレーキを併用する為と思われるが、思ったより効き過ぎるのでブレーキを掛ける度に踏力に気を遣った。
しかし今度の新型では、殆ど普通の(油圧のみの)ブレーキと同様に、全く気を遣わずに走れた。
ハイブリッド車はメーターを見るのも楽しみになる。
「充電してるしてる」とか、「山越えでバッテリーが少し減ってきたな」など可視化された表示が楽しい。
この日は平均燃費がリッター当り24kmほどで、ガソリン代が安かったのも嬉しいところだった。
一方、個人的に気に入らないのはデザインだ。
車の全体的なバランスは良いのだが、フロント周りの妙に切り刻んだような造型は、まるであちこちを刀で切られたようで好きになれない。
ただ、大口を開けて食いつくような怖い印象の最近のトヨタ車と違い、これまでのプリウスの印象を継続した良さを感じるものの、残念ながら美しくなったとは思えない。
リアも個性的で、テールフィンを備えたようなデザインは新しいのだが、しかし、私は昔のテールフィンの流行った頃を思い出してしまい、むしろ懐かしさを覚えてしまう。
その一方で、バックする時にはこの跳ね上がり部が視界を遮り、後ろが見えない。
その対応として、シフトレバーをバックを入れるとバックモニターが働き、前を向いたまま画面を見ながらバックすることになる。慣れれば良いのだろうが、肉眼で見ることなくバック運転するのは何とも落ち着かないし、正直言ってバックがむつかしかった。
さて、賢島はいつ行っても英虞湾(あごわん)が美しい。
内海なので、そのリアス式海岸は湖のように波が無く、しかし海の景色の強さがある。
そうした美しい景色と共に、当然、海の幸で美味しいものを戴けるし、そして温泉に入るという、我々日本人にとって最も好むところのものが揃っている。
そんな伊勢志摩に、程良い距離に住めているのも幸運と言えるだろう。