ロンドン パディントンを基点にイングランドの西南部に広がる昔のGWR(Great Western Railway)は、今もグレート ウェスタンの名称を引き継ぎファーストグレートウエスタン(First Great Western)が運行している。
写真はスウィンドンにあるグレート ウェスタン鉄道の博物館「Steam」で写したもの。とても良く出来た博物館で、見学ルートは通常約2時間かかる。展示物の内容やクオリティが高く、また展示方法も上手く、実物大フィギュアがまるで生きている人のようにあちこちに配置されていて実感味があり、時にはドキッとするほど、上の写真では駅のベンチの女性はフィギュアだ。
こんな感じで「人が居る!」と一瞬、驚いてしまう。単に、この信号所の建物が展示されているだけなら通り過ぎてしまうだろうが、人が居ることで興味が湧き、つい中まで覗きたくなる。
上の写真、左は木造客車の製造風景。 右側はGWRを代表する4気筒蒸気機関車CASTLE(カッスルと読むべし)の第二動輪の内側を下から見たもので、まるで自動車のクランクシャフトと同様のバランスウエイトやコンロッドベアリングの姿を呈している。
と、いきなりGWR博物館の話にばかりになってしまった。
さて、私のGWR路線での興味は、
◇スウィンドンはコッツウォルズ地方の南端にあり「イギリス人の心の故郷」とも言われるコッツウォルズの、マナーハウスに宿泊して静かな自然を愉しみたい。(上写真)
◇GWRはアガサ クリスティの小説に良く出てくる路線であり興味深く、またクリスティの生誕地でもあるデヴォン州の景勝地トーキーを訪れること。
◇イギリスの鉄道では少ない海岸沿いの路線での列車撮影。それもDawlishは嵐の時には大波を被りつつも平気で走る列車で有名な場所でもある。
https://www.youtube.com/watch?v=v6VITL4Oy08
◇そして、前述のGWR博物館「Steam」を訪れ、ビックフォー時代を偲ぶこと。
などであった。
ロンドン パディントン駅。グレート ウェスタンは、ここから始まる。
写真は「ブリストル テンプル ミード駅」のプラットフォームを写したものだが、テレビで放映されている「名探偵ポアロ」の「プリマス行き急行列車」のワンシーンに出てくるのと、そっくりの場面になった。
犯人の女性がアリバイ工作で「ブリストル駅」のホームのベンチで隣の男性に時間を聞く、という、よくあるシーンだが、まさに、この煉瓦作りの壁の前のベンチだった。
ただ、壁の駅名は「Bristol」のみでTemple Meadsなど余計なものは無かった。おそらく、この駅の北方に「Bristol Parkway駅」などが出来て名称が増えたのだろう。
ここがDawlishの海岸、IC125(インターシティ125)プリマス発の列車がパディントンに向かう。丁度、歩道橋があったので、その上から写したものだ。
それにしても、このような主要な路線が、こんなに海岸の真横を通っているものだと思う。
写真の先の方では波が飛沫を上げているが、良く見ると、そこから手前のコンクリートは白く新しいが、2014年に大波で崩れたところだ。
IC125のファーストクラスのシート。
ご覧のようにシートは大きく、重厚なレザー張り、窓側はリクライニングさせた状態。
大きなテーブルで、窓寄りには2つの電気コンセントとUSBポートがある。
因みに無線LANのWi-Fiに関しては、私が乗ったイギリスの各方面のメインラインの優等列車では全て完備されていた。またホテルはどこでも可能で、田舎のホテルですら同様にWi-Fiが使え、有効にスマートフォンが使えたので知らぬ土地では随分助かった。
こうしてみると、日本のWi-Fi環境は遅れていると言わざるを得ない。電波が飛んでいなかったり、申込みや手続きが必要だったりと、
そう、日本の鉄道のリーダーたる新幹線は何だ。700系では「この列車は無線LANがご使用になれます」などと放送が入るが、実は事前に手続きをしておかないと使えないなど、海外から来た人や、新幹線に乗り慣れていない人など、肝心な人が利用出来ないじゃないですか。
先のコラムの、東海岸線(昔のLNER)や西海岸線(昔のLMS)は電化されており、バージン・トレインズが運営し、最新のIC225/MK4客車や最新高性能電車ペンドリーノで軽快/快適で素晴らしいサービスが受けられるが、GW路線は、まだ殆どが非電化区間でディーゼル車両が主体となる。
営業開始から40年が過ぎたIC125/MK3客車が今も主力車種であり、確かに貫禄の重厚な魅力はあるのだが、古くなりつつある車両はよく揺れるし車内サービスにも古さを感じてしまう。とは言え、それらはバージンと比較しての話で、日本とサービスの面で比較をすると、どこから乗ってもすぐに客室サービス員によるワゴンサービスが来て、ドリンクや食べ物(スナックやフルーツ等)を提供してくれるなど。テーブル付きの広くゆったりした座席空間を含め、基本的にイギリスの鉄道旅行は誠に快適である。
参考までに、IC125の125は最高速度を表し、125mileつまり200km/hで40年前からカッ飛んでいたのだから大したものなのだ。
こちらはDawlishのひとつ西、Teignmouthの海岸沿いで写したスーパーヴォイジャー。
やっと晴れた瞬間に写せた。
このスーパーヴォイジャーは中短距離の優等列車に使われているようで4両編成ばかりを見た。
これがスーパーヴォイジャーの車内。近代的で清潔な感じだが、何故か車両上部の幅の狭さが気になる。それは、振り子式(車体傾斜装置の意)車両で傾斜時の車両限界に対応されたもの、最大6度も傾斜させるようなので。
しかし、同じ振り子式でも、ペンドリーノでは車内幅の狭い感じはしなかったのに。
トーキー(Torquay)では海岸べりのホテルに泊まった。
トーキーの駅からタクシーでホテルに向かったのだが、遠回りをして頂いてアガサ・クリスティの銅像を見せてもらった。
トーキーは観光地でもあり、その町の中心付近の公園に銅像はあった。
ただ、タクシーの運転士さん、走り出す前に無線で銅像の場所を聞いてから向かっていたが、アガサ クリスティの生誕地とは言え、地元ではさほど有名ではないのかも知れない。
下の写真はホテルの部屋の窓から写した景色で素晴らしかった。
ホテルは内装も良い雰囲気を醸し出しているし、庭も綺麗に整備されていた。
そして食事も美味しく、落ち着いたレストランの雰囲気共々楽しむことが出来た。
まるでアガサ クリスティの小説に出て来てもおかしくない所だったが、
幸い、殺人事件は起こらなかった。