ビッグ・フォー その3 LNER

London and North Eastern Railway (LNER)
Big4分類図-5.gif
前回のLMSのライバルLNERだ。
実は、自動車レースのF1チームの殆どがイギリスにあり、またイギリスのサーキットではフォーミュラカーから大型トラックに至るまで、実に様々な種類のレースが組まれ、あるいは女性だけのレースとか、国会議員だけのレースが行われたりと、昔からイギリス人はレース好きの国なのであるが、鉄道でも同様にスピード競争が繰り広げられていたとは・・・
エリア図で、LNERは青いエリアの部分で、ロンドンの北から東にあたる地域に路線を有していた。主要幹線はロンドンからスコットランドのエディンバラに至るイースト・コースト本線で、始点と終点はLMSも同じであった。


LNERの看板列車は“フライング・スコッツマン”で、牽引する機関車はA1 Classから始まり、最終的にA4 Classとなるのだが、A4 Classというよりも4468号機の”マラード号”の方が通りが良いかも知れない。
○A4-2サイドビュー.jpg
写真はA4 Class 60018号機で名称は”Sparrow Hawk”だ。イギリスの機関車は1台1台に名前を持つ。
サー・ナイジェル・グレズリーの設計によるA4 Class機関車は、1938年当時としては先進的な風洞実験を行い、空力的に優れた流線形の車体を持つ。
LMSのダッチェス Class機が1937年に最高速度183.4km/hを記録した翌年の1938年に203km/hという最高速を記録した。この記録は蒸気機関車としては世界最速であり、その後も破られていない、つまりレコードホルダーなのである。
営業速度も160km/hを出していたと言うから、日本の蒸気機関車のイメージとは全く異なる。
LMSの“ロイヤル・スコット”も、LNERの“フライング・スコッツマン”もロンドンをAM10時に出発して、双方ノンストップでスコットランドを目指していた訳だが、勾配が少なく、距離的にも僅かに短いLNERが常に少し速かったようである。
Big Four時代以前から続く、この「北への競争」はインターネット等で調べて頂くと面白いと思う。
Manningtree駅トリミング.jpg
こちらは「北への競争」とは関係の無い、しかし昔はLNERの路線であったロンドンから東方のイプスウィッチに向かう路線の中程にあるマニングツリー駅。
Class47型ディーゼル機関車がMK1客車を牽いて進入する。よく見ると右側にディーゼルカー(Class105)がチラリと写っているのだが、この駅からハーウィッチ港に向けて伸びる支線で、そのハーウィッチ港からはベルギーに向けてフェリーが出ている。鉄道を利用してベルギーに向かう人はこの経路を使う。
支線はハーウィッチ港の先のハーウィッチ・タウン駅まで伸びているが、乗客は港で降りてしまうし、終点のハーウィッチはとても寂しい町だった記憶がある。
□A4.jpg
A4 Classの牽く“フライング・スコッツマン”
機関車の塗色とテンダー(石炭車)横のマークは国有化後のBritish Railwaysの姿で、LNER時代は水色なのであるが、これもDCC Sound仕様が無い為だ。しかしカラーリングとしては美しいので気に入っている。
後ろの客車は、まさにLNERそのもので、塗装はチークのニス塗りである。車体が鋼板化された後も、この塗色を使っていた由。
DCC Soundの、このA4は比較的新しい製品なのでファンクションの設定は12ある。
汽笛は短音の「ボッ」という感じと、長音は、LMSのダッチェスが低音でかすれたような音なのと異なり、少し日本の電気機関車のホイッスルに似た、「ピャーーッ」という高い音がして、いかにも飛ばし屋に思えるのも面白い。

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