夕陽が当たって陰影が強く、見にくい写真になってしまったが、近鉄の最新型特急車両の22600系を白子駅で写したものだ。
この顔、何かに似ていると思ったら、スズメ蜂だ。
それはともかく、素晴らしい車両である。
前回のブログで大阪や名古屋に行った話をしたが、その大阪からの帰り、難波の切符売場で乗る車両を聞いたが「普通の特急です」とのことで、普通に切符を買い、ホームに降りてみると普段の12200系だが後部の2両は新型22600系だった。中をのぞくと空いている様子なので、この車両に移動して帰った。因みに、近鉄の検札は指定場所に座っていない人のみ検札をするが、この時も検札を受け、移動を快く了解もらえた。
そして2日後には名古屋に行った帰り、同様に切符を買う時に車両を聞いたが「普通の車両です」と、で切符を買ってホームに行くと、同様に12200系の4両と、先頭2両は22600系で、これまた同様に空いていたので、この車両に移動して帰った。
まず、近鉄特急で切符を買う時に種類があるのは、アーバンライナー、伊勢志摩ライナー、そしてビスタカーの3種で、時刻表にもそれらは記載がある。
しかし、この22600系は汎用特急車両になるので特に記載が無く、切符売場でも解らないので仕方がないのだが、実際に乗ってみると22600系は、とても快適な車両であり、乗らなきゃ損なのだが、6両中2両が22600系でも、何故かコンピューターは最後に席を決めるようでガラ空き状態で走っている。
ということで、22600系の紹介。
乗った感じが気持ち良い。何故かと探ってみると、窓が大きく、特に高さは965mmもあり開放感がある、無論ガラスはUVカットで少し緑色を入れている。
そして天井が高くなり頭部というか上部の室内空間が広々としている。
新幹線ほど速度を追求しない=空気抵抗や低重心を追求しない。またダブルデッカーから切り替えた1階方式の鉄道車両のメリットがそれらに生かされている。
ついでに広さで言うと、車体側面の厚みが薄く、室内の幅方向の広さを確保しているが、この大きな窓と含めて強度/剛性は大丈夫かな、と、ついついレース屋さんは思ってしまうが、それは最近の車両では多く使われているアルミフレームを採用せず、鋼製車体を使い対応している。鉄はいい、強くて硬い。
ついでに構造的なことを言うと、乗り心地が従来車よりも揺れ(特に横揺れ)が少なく感じる。台車はボルスタレス構造のもので、新型のアーバンライナーと同様のものが使われている。とすれば、まだ新しいのでヨーダンパーが良く効いているのだろう。
22600系で最も進化を感じたのはシートだ。シートバックを高くしたので前後席の人が気にならず、プライベート空間が保たれた感覚がある。そしてシート形状が良い。腰をよく支える形状だし、フットレストは新幹線のグリーン車に似たものが付いているのと、前席の下は空間となっており足元が広い。加えて、靴を脱いだ時の足の置き場として、フットレストとは別に前席シートバックの下端も、角度的に足置きを想定した形状と思え、とすれば、なかなか気が利いている。
近鉄初の前席シートバックに備わる航空機や新幹線と同様のテーブルが備わった。賢いのは、グループ等でシートを対面にした時には、そのテーブルは使えなくなるので、ひじ掛け内から、せり出す、以前のスタイルのテーブルも備えている。
また、以前に新型のアーバンライナーの紹介では窓下のスペースに関して文句を書いたが、http://www.hatagawa.net/2008/07/post-29.html
その窓下の部分は物が置けるよう、ちゃんと樹脂成型のテーブル状になり、鉄道車両らしくなった。
ついでに、トイレも日本で初めてシャワートイレが付いた、偉い。とは言え、何故、今までに、こんな快適/清潔なものが鉄道車両に無かったのか不思議だ。シャワートイレは日本の美徳だ。
また、車体に密着する乗降口のプラグドアにより、トンネルでの室内の気圧の変化が少なく、トンネルの連続する青山付近でも耳に違和感を覚えることは無かった。
こうして22600:系は、新幹線で言うなら一般車とグリーン車の中間に位置するような、あるいは、アーバンライナーの一般車を凌ぐほどの快適な車両と言える。
大阪からの帰路は2時間弱乗るのだが、途中の山あいの美しい景色と相まって、まことに快適な移動時間を過ごせた。
この22600:系、惜しむらくは、切符売場や時刻表で判るようになっていると有難いのだけれど・・・