デジタルサウンド C56

C56信号所前圧縮.jpg
デジタルサウンドとは言ってもオーディオの話ではなく鉄道模型の話。
ディーゼル機関車DD51のDCC(デジタル・コマンド・コントロール)化に続き、
(鉄道模型これからは音と光?:http://www.hatagawa.net/2009/10/post-80.html
C56蒸気機関車をDCC化した。共にサウンド付きである。
これが、何とも実感味ある警笛音やドラフト音を発して走るんだな。
それにしても、カトー製のC56は模型というよりは良く出来た工業製品であり、無駄が無く、極力ネジ類を廃した構造となっている為、その分解も、配線関係、デコーダーやスピーカーの取付けも、結構やっかいなものだった。


C56分解.JPG
写真は機関車部分の分解を始めた時のもの。
デコーダーとスピーカーを組み込むには、車輪からデコーダーへ電源の配線、そしてデコーダーからモーター/ヘッドライトへの配線を行うために分解と改造を必要とする。
因みに、最近ではDCC化への対応を考慮された模型も増えてきており、8ピンと呼ばれるソケットが付いていると、こうした配線の作業をしなくてもデコーダーからの8ピンソケットを差し込むだけでデジタル車両に生まれ変わる。
デコーダー圧縮.jpg
これが車載用のデコーダーと手前は付属のスピーカー。
C56のテンダー(石炭車)内に収めようという算段だが、実物のC56は元々支線用の機関車であり、長距離を考慮していないのでのテンダーは小さく、またターンテーブルの無い路線でも方向転換せずに走れるよう、バック運転に備え視界を確保する為にテンダー両サイドをステップ風に落としているので、テンダーはより小さな容積しかない。
そこに、このデコーダー/スピーカーを押し込む訳だ。
またプラスティック製の車体は軽く、脱線を避けるために模型では内部にウエイトを積んでいるが、その部分にデコーダー/スピーカーを入れることになるが、やはり、どこかにウエイトを積んで輪荷重を増やさないと、非脱線性能と、何よりレールから車輪を通して電源が供給されるので集電性能を上げる必要がある。
機関車バラバラ圧縮反転.jpg
分解途中の機関車。
箱根細工のように、分解していくには知恵が必要だ。
一方でバラしても組み立てられるのか不安も募る。
モーター部圧縮.jpg
完全にバラしたモーターと動力伝達部。見事な構造で、ウエイトを兼ねる左右の車体構造体にモーターもギヤ関係も挟まれ、位置決めされて成り立つ。
モーターにもウオームギヤの先にもフライホイールを持ち回転の安定を図っているが、モーター部のそれはウオームギアシャフトへのジョイントを兼ねている。
という構造の理解は良いとして、この左右の車体構造体は僅かの隙間を持って、車輪からダイレクトに+-逆極が通電されており、よってモーターには配線が無く接片により、その構造体より集電している。
そのモーターへはデコーダーからの給電に変えねばならず、このあたりの電気接点を含め、改造を必要する訳で、最終的にはモーターを車体構造体からもフローティング化にする必要があった。
機関車側圧縮.jpg
機関車部の配線。
車体構造部とは別に独立した配線を行う。
右下のソケットが8ヒンで、デコーダーからの8ピンに接続する。
テンダー配線圧縮.jpg
何とかテンダー内に押し込めたデコーダーとスピーカー。
下の赤/黒配線は電源用で、プリント基板部から引いているが、このプリント基板部には線路からの電源が機関車からと、このテンダー車輪からも供給される仕組みとなっている。
これで機関車からの8ピンソケットを差し込めば電気的に成立する予定。
仮り組み試運転圧縮.jpg
一旦、仮り組みをして試運転を行うC56.テンダー上部にはスペース確保の為に穴を開けたのでデコーダーの一部が見える。この後、この上にはウエイトを積み、ウエイトの上には石炭を乗せて隠している。
という訳で、というか、本当はここまでの間に大変苦労していて、何度もバラし、組立を行っているのだが、まあ、何とか完成に漕ぎ着けた次第。
今回、使ったのはクマタ貿易が発売しているESU製のデコーダーでC56用である。
(ESU Loksound V3.5)付属スピーカーは23mm。
ところで、デジタル化すると、どんなメリットがあるのか、というと。
まず、このデコーダーのファンクションキー割当表を見て頂ければ理解出来よう。
F0:ヘッドライトON/OFF
F1:サウンドON/OFF
F2:汽笛 長音
F3:汽笛 短音
F4:エアーポンプ音
F5:水ポンプ音
F6:速度全速/半減切替え
F7:インジェクター音
F8:駅のベル音
F9:連結音
F10:排気音
また、これらとは別に、DCCのメリットとして。
・走行性能的に超スローが効くので、発進/停止がスムーズになる。
このC56での超スローは動輪1周7秒もかかる。そしてモーターにその回転で走りなさいと指示する訳で、どこまでも、その速度で走る。
・無論、同じ線路上で複数車両を個々の運転で走らせられる、実物同様に。
 (このことは、気をつけないと正面衝突もしかねない)
C56駅出発圧縮.jpg
などがメリットとしてあるのだが、では実際の走行ではどんな感じになるのか、というと。
・C56が駅に停車している。
 ヘッドライトは点灯している。
 機関車からはシューという蒸気を吐く音、そして、時折、ポンプ類が動く音がして、止まっていても機関車は生きている感じがする。
・ジリリーン! と昔懐かしい駅の発車ベルを鳴らす。
・ボォーーーッ!
 かなり大きな汽笛の長音。・・・音質が良く実感味万点
・コントローラーを上げると、ごくスムーズに走り始めるが、水蒸気を吐き出す強烈なシューッ 音。
・少し動き出すと水蒸気の吐き出し音は消え、シュッ、シュッ、シュッ、シュッというドラフト音が速度に比例して速くなり、機関車は音と共に走る。
・踏切が近づきボォーーッと警笛を鳴らす。
 また、ボンッという短音の警笛も、走行時や、入替作業時に聞く、あの音で、何とも実感味がある。 
ざっと、まあ、そんな感じであるが、この製品は音質が良く、小さな模型ではあるが蒸気機関車の迫力が伝わってくる。
下は大阪での運転会(HNモジュール運転会)で走らせた時のものだが、初めてデジタルサウンドをご覧に(お聴きに)なった方には、かなり刺激的だった模様だ。
そう言えば、私も天賞堂で初めてサウンド付きのDD51(カンタムサウンド)を見た時には刺激を受けた。その実物同様の音が出るということの魅力に対して。
枚方運転会圧縮.jpg

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